そのゼロ、魔女と再び恋する

□Story 8
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「本当にもう大丈夫か?」

「零は心配性だなぁ。
もうすっかりだよ!
なんてったって、スラグホーン教授が調合した魔法薬なんだよ?
神崎 凛、完全復活〜!」


医務室のベッドの端に腰掛けて両手を万歳させている凛を訝しげな視線で見つめる降谷。


「・・・君はいつも大丈夫じゃなくても大丈夫だと言う。」

「いっいつもって・・・
私そんな言う程、零にこんな姿見せた事ないけど?」

「この前も39度の熱があった癖に、大丈夫だと言って任務にあたっていたしな。」

「任務?
何の話よ。」

「・・・こっちの話だ。」

「いや、どっちの話だよ。」


凛は小さく微笑むと、降谷の顔を覗き込んだ。


「次の日になっちゃったけど・・・
昨日は助けてくれてありがとう。
正直、もうダメかなーって思った時、零を思い浮かべたんだ。
そしたら本当に零が助けに来てくれたんだもん。
すっごくカッコよかった。
零は私のヒーローだね。」


降谷は目を大きく見張ると、口元を右手で覆って顔を横に向けた。


「・・・照れてるの?」

「・・・照れてない。」

「えー?うっそだぁ!
じゃーこっち見てよ!」


凛が降谷の右手を掴んでグイグイと引っ張っりながら無邪気に笑う。
降谷はその凛の笑顔が、よく知る笑顔で目尻を下げて微笑んだ。


「何だ?
そんなに見て欲しいのか?」


降谷はそんな凛を少しからかおうと思い、ニヤリと笑みを浮かべながら凛の顔の方へ自身の顔を近付けた。

きっといつも通り、顔を真っ赤に染め上げて目を大きく見張るはずだと思いながら。


「ーーーーーーーーーやっっっ」

「!?」


凛によって勢いよく胸元を押されて突き放された降谷は、意外な行動の凛にキョトンとした。


「・・・わ、悪い・・・
そんなに嫌がるとは・・・」

「えっあっちがっっっ」


顔を真っ赤に染めて慌てる凛に、降谷はますます頭にクエスチョンマークを浮かべた。


「あ・・・う・・・
うぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!」


ついに目に涙を浮かべて、勢いよく医務室の扉を開け放つと、そのまま走り去って行った。
その凛の背中を、降谷は呆然と見つめる事しか出来なかった。
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