その魔女、ゼロに恋する

□Episode 5
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午前中でポアロの仕事を終えた帰り道。


凛は美味しそうな甘い香りと、人を呼び込むようにしてはためく旗に釣られた。
そして釣られたクレープ屋台で "ストロベリーチョコ ホイップクリーム激盛りフィーバー" という謎の名のクレープを買った。

凛がどこで食べようか辺りをキョロキョロ見回していると、少し先にある公園のベンチを見付けた。
公園のベンチに座り、ずっしりと重いボリューム満点のクレープに一口齧り付いた。
そしてそのクレープの美味しさに頬に手を添えて大満足した。


「ん〜っっ
美味し〜!!!
このもっちもちの生地に甘さ控えめなホイップクリーム!
以外に多く入ってるイチゴのフレッシュ感!
さすが商品名にフィーバーがつくだけあるー!!」


昼食もまだだった為、中々の大きさだったクレープもペロリと完食した。


(ん、大満足!
さぁて・・・帰ろうかな。)


凛は中指で軽く口の端を拭ってウェットティッシュで拭き、ベンチから腰をあげた瞬間ーーーー


ベンチの後ろの茂みの中から聞こえて来る人の荒い息遣いに、凛の足はピタリと止まった。

その荒い息遣いの持ち主は、どんどん凛の方に近付いて来る。
凛が後ろを振り返ったのと同時にその人物が襲いかかって来た為、凛は思わずぎゅっと目を瞑った。


「ーーーーーっ!?」


背中に響く鈍痛、腹部へかかる圧迫感、そして荒い息遣いが顔にかかる。


(ーーーー痛っ重っっ
何ーーー!?)


凛は恐る恐る目を開けると、そこには脂ぎった顔に肥った大きな身体を持つ見知らぬ男が凛の上に馬乗りしていた。


「・・・いやいやいや、あんた誰よ。」


この状態で冷静にツッコミをいれてる場合か!と、凛は脳内で自分にツッコミをいれた。
そして必死に目の前の大男を押し退けようとするが、大男はビクとも動かない。


「ちょっ重!
退いてっくださいっ!」

「・・・はぁ、はぁ・・・
あぁ、凛ちゃん・・・
ぼっぼくの可愛い天使ちゃん・・・
いつもぼくに、すっ素敵な笑顔を向けてくれたよね?
だからそれに、こっ応える為にむっ迎えに来たよ・・・」

(ひえええええ!
何言ってんだコイツぅぅぅぅ!?
気持ち悪ぃぃぃぃぃ!!)


まったく身に覚えのない大男の発言に、凛は顔を引き攣らせた。
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