その魔女、ゼロに恋する

□Episode 0
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冷えた仄暗く埃っぽい場所で、全身を漆黒で包んだ男が首から血を流し、その場に崩れ落ちた。



『セブルス!』

『・・・リン・・・くる、な』

『やだ!
どうして貴方まで!
死なないで!』


ひゅー、ひゅーと喉を鳴らしながら浅く呼吸を繰り返すセブルス・スネイプに、凛は走り寄った。
そして傍らにしゃがみ、肩から斜めにかけた小さめの鞄の中から数種類の小瓶を取り出した。
その小瓶には魔法薬が入っていた。
スネイプの首元にある切り傷や噛み傷に、取り出したハナハッカや独自に開発した止血剤や解毒剤などを用いて必死に治療を試みる。

するとその場に不気味な笑い声が響いた。


『ああ・・・お前があの規格外の魔女と噂の、リン・カンザキか。』

『・・ヴォルデモート・・・』


スネイプをこの状態にした男を目前に、凛の怒りはひどく湧き上がり、ギリィッと奥歯を強く噛み締めてヴォルデモートを睨みつけた。

ヴォルデモートは赤い瞳で冷たく凛を見下ろし、ニヤリと口元を持ち上げながら続けた。


『そいつはもう何をしても無駄だ。
だがお前は、これからの俺様の世で存分に力となり得そうだ。
お前が俺様の元に来るというのならば、お前だけは助けてやる・・・どうだ?』


ヴォルデモートは手に持つニワトコの杖先をクルクルと指先で弄びながら、チラリと視線を凛に移した。


『ふざけるな!!
誰がお前なんかの元に行くものか!!
お前に従うくらいなら死んだ方がマシだ!!』


凛がヴォルデモートに向かって叫んだ瞬間、ヴォルデモートの表情から不気味な笑みは消え、口元が僅かに引くついた。

そして凛に向かって、先程よりもさらに低い声で言葉を吐き捨てた。


『・・・ならば、死ね。』
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