そのゼロ、魔女と再び恋する

□Story 2
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凛は降谷に視線を移した瞬間、目を見開いて固まった。
自分がよく知っている凛より幼い凛の表情が、"今"とまったく同じだった為、降谷はつい声を出して笑ってしまった。


『ははっ、驚いているのか?
・・・そんな顔もすごく可愛いな。』


その瞬間、降谷の声が聞こえる範囲に座っていた女子生徒たちは次々にノックアウトした。
さらに鼻血を噴き出した者は、マダムポンフリーによって医務室へと連れて行かれた。
凛本人はというと、自身の右隣に座るスネイプの胸倉を掴んで激しく揺さぶりながら動揺していた。


『セセセセセセセセブルス!!
国宝級イケメンがっっ
わたっ私の事を可愛いって言った!!!
え!?空耳!?てかこの人誰よ!?』

『おい!落ち着けっっ
やめっっっ、おぇっ』


スネイプは激しく揺さぶられた事によって気分が悪くなったのであろう。
土気の肌色をさらに悪くした顔色で、降谷を弱々しく睨んだ。


『・・・お前、何だ?』


降谷はこの世界で凛が受けている仕打ちは当然知っている。
スネイプはそんな凛を守る為、降谷に牽制している事はすぐにわかった。


『何も?
ただ彼女があまりにも素敵な女性なので、是非とも仲良くなりたかっただけですよ。』

『はぁ?
編入生だかなんだか知らないが、リンに変なちょっかいをかけるのはやめろ。
非常に不愉快で迷惑だ。』

『おや?
その言い分ですと、変なちょっかいでなければ彼女に構ってもいい、という事ですよね。
心配しなくても僕は真面目に言ってるので。』


降谷の言葉にスネイプが奥歯をギリィッと噛み締め、勢いよく席を立とうとした瞬間ーーーー


『おい、編入生!!
リンになんの用なんだ!?』


降谷の前の席にドカッと乱暴に座った男に、降谷はゆっくりと視線を移した。
その顔立ちの整った男の事を、降谷はもちろん見覚えがあった。


(彼がシリウス・ブラックか・・・)

『聞いてんのか!?
俺よりちょっとイケメンだからって調子乗ってんなよ!?』

『シリウス・・・
それ、ただの僻みにしか聞こえないよ?』

『仕方がないよ、リーマス。
シリウスは頭は良いが、思考回路は赤子並みだからね〜。』


続けてシリウスの隣に腰掛けた顔中に傷がある男と眼鏡をかけた男にも見覚えがあった。


(彼らがリーマス・ルーピンとジェームズ・ポッターか・・・
となると、凛が追いかけ回していた女性も・・・)

『ちょっとみんな黙ってて頂戴。
せっかくの食事中にごめんなさいね?
私はリリー・エバンズよ。』


燃えるような赤い髪を持つ女性が、名乗りながら手を差し出した。
降谷も愛想良く微笑みながら手を差し出して、リリーと握手を交わした。


(彼女がリリー・エバンズか・・・)

『リリー!
この料理美味しいよ〜!
はいっあ〜ん!!』

『あらリン、ありがとう。
あ〜ん・・・ん、美味しいわ!』

『リリー!!
僕も君に食べさせてあげるよ!?』

『やめてちょうだい。
気持ち悪すぎて吐き気しか湧かないわ。』

『ひどい!!』

『セブルスは今日も少食だね。
ほら、これも食べなよ。
美味しいぞ〜?』

『おい、やめろ。
これはただ単にリンが嫌いな食べ物なだけだろう。
人の為に盛ってる風にするな。』

『おいっ編入生!
俺の質問は無視かよ!?』

『シリウス、少しうるさいよ。
彼もビックリしてるんじゃないかな?』

『リーマスは甘いんだよ!
この編入生にはビシッとだなぁ!』


降谷はシリウスたちから視線を外すと、ただジッと凛の様子を見て優しく微笑んでいた。
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