その魔女、ゼロに恋する

□Episode 8
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「凛お姉さ〜ん!
こっちこっち〜!」


歩美が笑顔で手を振り、凛の名前を呼ぶ。
凛は瞬時に歩美に走り寄り、歩美をムギューっと抱きしめた。


「はぁはぁはぁっ
天使がっっっ!
天使が私を呼んだ!
・・・ちょ、コナンくんやめてください。
お願いします、警察に通報はやめてください。」


その様子を見ていたコナンが、スっとスマホで警察へ連絡しようとしたのを凛が慌てて止めた。


「今日はいつもよりさらに顔が緩んでるわよ。」

「哀ちゃーん!
だってさ、見てよ。
周り天使しかいないでしょ?
まさにハーレム天国じゃない。
鼻血通り越して吐血レベルよね?
ってか哀ちゃん、風邪?大丈夫?」


顔にマスクをつけて時折ゴホゴホと咳き込んでいる灰原に、凛は心底心配した。


「ええ、大丈夫よ。
ちょっとまだ治りきってないだけよ。
・・・それより貴女、誰でもいいのね。」

「え、哀ちゃん・・・
それって・・・」

「?なによ?」

「嫉妬!?
きゃーっっ可愛い!好き!大好き!」

「なっ!違うわよ!離しなさいっ!」


凛が灰原を抱きしめながら、キャッキャッした。
灰原はそんな凛から逃れようと必死にもがく。
そんな2人のやり取りを見ていたコナンは(おいおい、何やってんだよ・・・)と呆れ顔で見ていた。


「そういえば、私たちのある席があの一等車だよね?
来月、怪盗キッドが狙うって予告したの・・・」

「そうなのよ!
次郎吉おじ様が来月、なんとかって宝石を一等車に展示するって発表したらキッド様、のってきちゃって!
だから今回、一足先に乗って彼への愛を込めた手紙を車内に隠してこようと思って!」

「ボクはそんな泥棒よりも毎回、車内でやっているっていう推理クイズの方が気になるけどな!」


声のした方へ視線を向けると、そこには世良が立っていた。


「せ、世良ちゃん?どうして?」

「ボクは探偵!乗るのは当然ーー」

「きゃー!真純ちゃーん!
今日も可愛いーっ」


凛が世良の存在に気付いて、勢いよく世良に抱きついた。

世良は凛の背中に腕を回して「凛ちゃんは今日も元気で可愛いなー!」と笑った。

そしてベルツリー急行はみんなを乗せて発車した。
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