その魔女、ゼロに恋する
□Episode 5
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「・・・恐怖に怯える凛ちゃんの顔・・・」
「いや、断じて恐怖に怯えてはない。
頼むから退いてください。
あと、顔が近くて非常に不愉快です。」
「そっそんな顔も、かわいい、
凛ちゃん、可愛い・・・」
尚も凛に馬乗りになって荒い息遣いで同じ言葉を繰り返し、顔を近付けてくる大男に、凛はさらなる嫌悪感を抱いた。
相手はマグルだから魔法はダメだと思っていた考えを、凛は一瞬で打ち消した。
(マグルに魔法はあまり使いたくないしって、考えてる場合じゃなさそうね。
幸いここは人通りも少ないし、この公園にもこの人以外に居ない。)
凛は杖を握り、男の左脇腹辺りに向けた。
(・・・ステューピファイ(麻痺せよ))
「ーーーふぐ、ぇっ!?」
凛が無言呪文で唱えると杖から赤い閃光が走り、凛の上から大男が真横に勢いよく吹っ飛んで行った。
「・・・ふぅ。
ちょっと強すぎて申し訳ない事したかな。
まぁでも、これでおあいこ様ですよ?
襲う相手を間違えましたね。
まったく・・・砂だらけじゃない最悪。
・・・よいしょっと。」
反応のない大男の方に顔を向けながら凛は冷たく言い放ち、起き上がった。
そしてふと、右側に顔を向けるとーーーー
凛の場所から少し離れた所で、今にも走り寄ろうとした状態の沖矢とサッカーボールを蹴ろうとしたのか、片足を後ろに上げたままで固まっているコナンが居た。
「・・・・・・・・わーお。」
(あー・・・むろさん、すみません。
本当にすみません。
私はやらかしてしまいました。
ジャパニーズスタイルの最上級の謝罪、土下座します。)
凛は心の中で、この事を露にも知らない安室に対して全力で謝罪した。