その魔女、ゼロに恋する
□Episode 3
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「神崎さん、こんにちは。
はじめまして・・・じゃありませんよね?」
シャラララン、という効果音とそこに存在しないはずのキラキラと咲き乱れる白薔薇の幻覚が現れる程の悩殺スマイルが凛に降り注ぐ。
その挨拶してきた目の前に立っているイケメンに、凛は見覚えがあった。
「あ!
あの時の安達さんが、ここの噂の店員さんでしたか!!」
「・・・安室、です。」
盛大に人様の苗字を間違えた事で恥ずかしさと申し訳なさで顔を真っ赤にした凛の後ろから、梓がひょっこり顔を出した。
「あれー?
安室さん、凛さんとお知り合いなんですか?」
「ええ、数日前偶然に神崎さんと出逢いまして。
ね?神崎さん?」
「え、えぇ。
私が迷ってた所を保護してもらって、そのまま道案内してもらったんだー。」
「凛さんはこっちに越して来たばかりですもんね!
それにしても世間って狭いですね〜。」
「ははっそうですね。」
会話もそこそこに、昼時の為すぐに店は忙しくなった。
凛はマグルのやり方で慣れないながらも接客に勤しんだ。
そして忙しい店内も次第に落ち着きを取り戻し、ふと安室が壁に掛けてある時計に視線を移した。
時刻は梓がシフトを上がる時間をとっくの前に過ぎてしまっていた。
「梓さん、時間延長してくださってありがとうございます。
店の方は一段落つきましたし、あとはやっておきますよ。」
「安室さん、ありがとうございます!
お願いしますね!」
バタバタと梓はバックヤードへ走って行き、エプロンを外して戻って来た。
「じゃあ、お疲れ様です!
お先に失礼しますね!
凛さんもまた明日!」
「梓ちゃん、お疲れ様ですっ」
梓が出て行ったドアの方を少し寂しげに見ていた凛に、安室は洗い物をしている手を止めないまま話しかけた。