そのゼロ、魔女と再び恋する

□Story 4
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翌朝ーーーー


「ん・・・?」


凛が目覚めると、目の前に褐色の鎖骨が映った。


(・・・鎖骨?)


凛は寝ぼけ眼のまま、ゆっくりと視線を上に移した。
そこにはカスタードクリーム色の金髪に、鎖骨と同じ褐色の肌を持つ降谷の寝顔があった。
そのあまりにも美しい寝顔に、凛は目が離せなかった。


(・・・なんて綺麗な寝顔なんでしょう。
本当にカッコイイ人だな。
眼福眼福・・・・・・ん?)


そこまで考えた凛は一気に脳が覚醒した。


(はぁぁぁぁぁぁ!!??
なっなんで私の部屋に零が居るのよ!?
しかもなんで私の事抱きしめてんの!?
待って、死ぬ!!
てか零って、めっっっっっちゃいい香りがするんだけど!?
香りですらイケメンってどうなってんのよ!?)


そう、凛は降谷のローブを布団替わりに掛け、降谷の腕にカッチリと抱きしめられていたのだ。
凛は身をよじって降谷の腕から脱出しようと試みるが、降谷の腕の力が強すぎて敵わなかった。


(ちょ・・・力強すぎっっっ!
ビクとも動かないんだけど!?)


脱出を諦めた凛は、視線をキョロキョロと動かして見回した。
そこは談話室にあるソファだとわかった。


(なーんでこんな所で寝てんの!?
そういえばこの零のローブ暖かいな・・・
きっと保温魔法を掛けてくれてあるんだ。
まだ習ってもない上級魔法ですら扱えるって、零は一体何者なのよ・・・)


ふと降谷の左半分程が、何も掛かっていない事に気が付いた。
凛自身の方には、ローブが十二分に掛けられている。


(・・・私の為に・・・
どうして零は私にこんなにも優しくしてくれるんだろう。
零が言ってくれているのは本当なの?
好きって何?
どんな感情なら好きになるの?)


凛は少し冷えた降谷の左半分にローブを引っ張って掛けた。


(零が本気なら、私は・・・)


カスタードクリーム色の美しい金髪に、凛はそっと手を伸ばした。
髪の毛を掬うように撫でると、指の間から髪の毛がサラサラと落ちていく。
それを何度か繰り返した後、矯正な顔立ちの降谷の頬に手を添えた。


(私は・・・零の事どう思ってる?
わからない・・・
だって出逢ってまだそんなに経ってないよ?)


心臓の鼓動が早く、それが鼓膜に大きく響く。
凛は降谷の唇を親指でそっと優しく触れた。


(確かに零が私に話しかけてくれる度に嬉しい。
零の声は心地良い・・・それに零の傍に居ると安心する。
あぁ・・・まただ。
心臓の鼓動がうるさい。)


その時、降谷の口元が弧を描いた。


「・・・ふふ、朝から積極的だな。
誘ってる?」

「!?」

「おはよう、凛・・・」


パチリと開けた降谷のグレイッシュブルーの瞳と、凛のヘーゼルの瞳が近くで合った。
途端に顔を赤くした凛は、慌てて降谷の唇から指を離した。


「おはっ
いつから起きてっっ!?」

「んー・・・?
凛が起きた時から。」

「ふぁ!?!?
そっそもそもなんで談話室なんかで寝てるのよ!?
しかも零とふたっふっ2人っきりでっっ」


降谷はにこやかに微笑みながら凛の頬を撫でた。


「君を部屋へ連れて行きたかったのは山々だが、俺は女子寮へ入る事は出来ないからな。
そもそも、凛が俺の服を掴んだまま離してくれなかったんだが?」

「〜〜〜〜〜〜っ!?」


眉を八の字に下げ、顔をこれでもかってくらいに真っ赤に染め上げた凛は、ソファから勢いよく立ち上がった。
そしてそのまま何も言わず女子寮の階段を全速力で駆け下りていった。


「・・・何、あの反応。
本当凛は今も昔も一々可愛すぎる。」


降谷は凛が消えた先を見ながら、フッと口の端を持ち上げて微笑んだ。
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