傘の下

□へんにょへにょ
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史帆「ねぇねぇ、海人君これみてー」
海人「・・・」
史帆「おーい、聞こえてる?」
海人「・・・」
史帆「あれ?海人くーん」
海人「あの史帆さん、なんで俺の部屋にいるんですか?」











ココ最近、何故かアパートの隣部屋の史帆さんが俺の部屋に居座る。
理由を聞いてもまぁまぁいいじゃないか、細かい事を気にする男の子はモテないよ?とはぐらかされる。
俺としては料理作ってくれたり、部屋の掃除をしてくれたりと助かってはいるのだが史帆さんが部屋に居座る事は細かい事とは思っていない。
とても大事だと思う。
俺はどうにか史帆さんを部屋に帰らそうとする。














海人「あ、そう言えばここの部屋幽霊でますよ?大丈夫です?」
史帆「海人君が居るから大丈夫ー」
海人「虫もでますよ?」
史帆「海人君がいるから大丈夫ー」











効果は無かった。
ポケモンで言うひこうタイプの相手にじしんを使うくらい意味がなかったと思う。













史帆「お昼何食べたい?」
海人「…どうしてここに居座るんですか?」
史帆「まぁまぁいいじゃないか、細かい事を…」
海人「いや、あの!…はぐらかさないで答えてください」
史帆「海人君怒ってるの?私何かした?気に障るようなことしたならもうしないって約束するから」














俺は確信した。
この人、重たい人だ。
物理的には女性に対して重たいなんて言わない。
つまり精神的、気持ち的に重たい人。
ちょっと厄介なのかもしれない人種だろう。
重たい人というのはメンヘラになりやすいと勝手に思っているところがあるからか、今まで関わってこなかった。
そんな人といきなり半同棲の様な感じになっている。
…引っ越そうかな。














史帆「私ね、この前好きな人に告白して振られたんだ…重たい人は無理だって。
中学生からメンヘラメンヘラってあだ名つけられて男の人と付き合ったことすら無いの。
なんなら相手にもされなかったんだけど海人君は私に嫌な顔はしないでしょ?心は嫌だと思うけど…」

海人「嫌な顔はしないですよ。
毎日ご飯作ってくれたり掃除してくれたりは凄く感謝してますしありがたいと思ってるので。
それに僕は帰らそうとはしますけどそれは史帆さんが隣の部屋借りてるからです。
それに付き合ってもない男女が半同棲なんて世間的に史帆さんが悪くなるからですよ?」

史帆「じゃあ…結婚する?」


















冗談だと思いたい。
基本ヘニョヘニョしてて不思議な人だが急にしっかりとした真面目な話し方に変わった。
そういう所が重たいと思われるんだと思う。
けど何故か俺は重たいと感じなかった。
それどころか少し嬉しかった。
















海人「お気持ちは嬉しいです。
ただ軽々しく決めたくないのでお返事はまたにさせてもらいます。
僕が返事する迄は史帆さんは遊びに来てもらってもいいですよ。
僕もなるべく早く返事をしますね」
史帆「じゃあししもいっぱい遊びに来るね!」













また初めて知ったところがある。
一人称がししだったり、好きな人に尽くすところ。
重い重いと言われるという史帆さんは実は彼氏に尽くしたいって思うただの優しい人なのかもしれない。
そうじゃないと重たいだけではここまで出来ないんじゃないかと思う。














今日、唐突にプロポーズされた相手は付き合ってもいない隣人だった。
最初は変人で何故か人の部屋に勝手に居座る常識知らずのただ重いメンヘラ女だと思っていたがしっかりと中を見てみると優しくて尽くすとてもいい女の子だと思った。
答えは固まっていたが返事はまだ先にしておく。
だってまだしらない一面を知って、付き合ってからの一面を知った方が恋愛って面白いじゃん?










これから数年後に2人がチャペルで純白のドレスと純白のタキシードに身を包むのはこの2人でさえも知らないのだろう。
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