傘の下

□不幸属性?
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俺の彼女は不幸属性と言われる。
ただアイドルになったという時点で不幸ではないとは思う。
そんな僕らの日常。


















海人「美玖?時間大丈夫?」














朝、中々起きてこない彼女を心配して起こしに行く。
寝顔が天使のように可愛い彼女。
長いまつ毛に綺麗に通った鼻筋、更にはしっかりと手入れされている綺麗な白い肌。
すっぴんでこの完成度はそこら辺の女の子と比べてもレベルが違うと思う。
多分これも彼氏補正というものがかかっている。

















美玖「んぅ…今何時?」
海人「7時」
美玖「…はっ!寝坊した!アラームは?」














そう言ってスマホの画面を何度かタップした。
しかし画面は真っ暗なまま、動く気配すらない。
スマホから伸びた白いケーブルを辿るとコンセントから抜け落ちていた。











美玖「あーもう最悪…」
海人「とりあえずご飯食べる?」
美玖「うん…」












少し落ち込んだ美玖をリビングに連れて行き2人で朝からはヘビーなハンバーグを食べる。













海人「じゃあ仕事行ってくるね?」
美玖「いってらっしゃい」













気分が乗らないはずなのに毎朝玄関までお見送りをしてくれる。
そんな彼女を抱きしめて額に唇を当てて家を出る。
仕事は大変だがそこそこ出来るようになってきたからか少し大きな仕事を任せてもらった。
お昼には行きつけのラーメン屋でテレビを見ながらラーメンを啜る。
すると画面に知っている、いや、朝まで一緒にいた彼女がうつっていた。
番組ではロシアンわさび寿司を食べていて丁度美玖の番だった。
…嫌な予感。
それは見事に的中した。
10個中1個のわさび寿司を綺麗に引き当てた。
ある意味もっているのかもしれない。
午後も仕事を進める。
17時になった。
その時、受付から内線がなった。












海人「はーい」
受付「あの、受付に白濱さんの彼女という方が来られてますが…」
海人「えっと…すぐ向かいます」














内線を切り、上司に来客が来たので少し抜ける旨を伝えた。
急いで階段を降りると受付の前に明らかにオーラの違う人がいた。











海人「どうしたの?」
美玖「あ、海人だ」










そう言うと胸に飛び込んでくる彼女をしっかりと受け止めた。
えへへと笑いながら顔を押し付けてきた。











海人「どうしたの?」
美玖「えっと…忙しいのにごめんね」
海人「美玖がここに来るって自分で処理できなくなったんでしょ?だから大丈夫だよ?」
美玖「スタッフさんに怒られちゃって…もう呼ばない!って…」











なかなかに重い話だった。
業界人ではないので詳しくは分からない。
ただ目一杯に涙を貯めていた事から察するにかなりの事なんだろうと容易に察せた。
その時にポケットでヴァイブレーションを感じてスマホを取り出す。









海人「ごめん、電話だから少し待ってて」










そう言って少し離れた場所で話を始めた。










海人「部長、お疲れ様です……はい……そうです、すいません…はあい!?」









寂しかったのか背中に抱きついてきた彼女。
その手を解いた。
少し寂しそうな表情の彼女を前から抱きしめてあげた。












海人「あ、すいません。…え、いいんですか?…はい、ありがとうございます!すぐ戻ります!」








電話を切ると美玖の頭を撫でながら伝えた。














海人「部長が今日は帰っていいって、後明日休みにしてくれたからゆっくりしよ?」
美玖「ありがとう!お礼言わなくちゃ!」














2人で部署に戻り荷物を取り、部長にお礼を告げた。










美玖「ん〜ん〜〜んん〜」











鼻歌なんて滅多にない上機嫌な彼女に1つ提案してみた。









海人「寿司食いに行くか?」
美玖「行こ!金村美玖をおすしかない!」
海人「推すだけでいいの?」
美玖「嫌!…しっかり捕まえててね?」









アイドルとは別の彼女としての顔を見せてくれる彼女は心を掴んで離さない。
不幸属性ではあるがその不幸を幸せに変えてあげたいと決心して手を繋いだ。
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