傘の下

□可愛い彼女
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梅雨の時期は憂鬱な気分になる。
雨が降って外に出かけるのも億劫になり家でゴロゴロする日が続く。
土日で晴れているなら散歩やジョギングに行くものの空が大号泣しているならそのやる気も全て失せる。
もしかしたら空は大号泣して気分がスッキリして晴れるのは地上の人間のやる気を雨というものを使ってた吸い取っているのでは?と頓珍漢な事を考えてしまう。
そんな事を考えているとインターホンがなった。
出ると女の人の声で宅配便ですとの事。
こんな雨の日まで大変だなぁと思い玄関を開ける。









菜緒「久しぶり」
海人「菜緒!?」










彼女である菜緒が玄関に立っていた。
咄嗟のことに驚き頭が真っ白になってしまった。









菜緒「あれ?海人?もしもーし!」
海人「あ、ごめん、とりあえず入って?」
菜緒「お邪魔しまーす…って部屋汚れてるやん」
海人「あぁ、料理作れなかったから」
菜緒「え?じゃあ毎日コンビニのお弁当とカップ麺で過ごしてたの?」
海人「うん」
菜緒「あかんで?海人体壊すで?」
海人「ごめん」
菜緒「謝らんといて?とりあえず片付けて買い物行こ?菜緒が作ったるから」









そう言ってゴミ袋を手渡してくる。
それを受け取りゴミを片付ける。
と言ってもゴミ屋敷って程汚い訳ではなくここ数日のお弁当のゴミやカップ麺の容器を捨てるだけなので5分もかからない。










菜緒「終わったな、なら次着替えて来て?服は…これとこれ…後は少し涼しいくらいやからこれ後ヘアセットしたるから急いでな?」









急かされたので急いで着替える。
服装は俺がシンプルなのが好きなのを知ってか黒スキニーに黒のオーバーサイズのTシャツを渡してくれた。
自分で言うのもなんだが本当に好きでいてくれたんだろうなと思う。









菜緒「お、やっぱりかっこええな」
海人「ありがと」
菜緒「セットするから座って」







そう言われたのでソファに座る。
するとソファの背もたれと俺の背中にすっぽりとハマってお腹に手を回してきた。








菜緒「ん〜!いい匂い…」
海人「…菜緒?」
菜緒「ん〜?」













なんて今にも蕩けそうな声で背中に頬擦りをする。
時々んふふふとかが聞こえてくる。









菜緒「ん、ヘアセットしよ」











そう言ってソファに膝立ちしてドライヤーを当てる。
少ししてヘアセットが終わったのか両肩をポンと叩かれる。
それから2人並んで買い物に行く。










菜緒「えっと、じゃがいもと人参と牛肉とカレールーかな?」






テキパキと必要な物をカゴに入れていく。
カゴが1つ一杯になる。








菜緒「一杯買ったな」
海人「これ使いきれるの?」
菜緒「大丈夫やで、毎日作ったるから」
海人「毎日来るの?」
菜緒「うん、毎日作らんとまたコンビニのお弁当とかやん、やから菜緒が作る」
海人「じゃあ…一緒に住む?」












すると持っていた買い物袋を地面に落とした。
ん?と思い振り返ると顔を真っ赤にしている菜緒がいた。











海人「菜緒?」
菜緒「なぁ、それってプロポーズとして受け取ってもええ?」
海人「…まだダメ。
いつか、僕がしっかりとした大人になってからその時またするから。
ただ結婚を前提とした同棲ではあるよ?」
菜緒「それやったら…仕方ないし?同棲したる」














照れている菜緒をそっと抱きしめた。
人前で抱きしめられるのが恥ずかしかったのか最初はバタバタと抵抗していたものの力を少し入れると抵抗するのをやめた。















普段はツンツンしている彼女も抱きしめると恥ずかしくなるのか大人しくなる。
2人ではデレるが人前ではしっかりする。
そんな菜緒が大好きでたまらなかった。









海人「菜緒、これから2人で頑張っていこうな?」
菜緒「うん、菜緒も花嫁修業頑張るな?」














人がいることも忘れて2人だけの空間に入り込んでいた2人はゆっくりと口付けを交わすのだった
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