ブラックペアン
□case9
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皆川さんの事は、猫ちゃんがいるから大丈夫と思い。廊下を歩いていると、世良先生と美和ちゃんが皆川さんの病室の片付けをしていた。
『...2人とも、お疲れ様です。私も手伝います』
世良「あ...橘さん...お疲れ様です」
花房「美咲ちゃん...お疲れ様」
2人とも落ち込んでいる。あんな事があったらパニックになって何にも出来ない自分が情けなく思うよね
世良「橘さん...僕子供の頃、何度も想像したんです。医者になってああいう場面に遭遇して動じることなくカッコよく人の命を助けるところを...はぁ...何度も何度も夢見て、やっと医者になったのに...」
花房「...それは私も...」
悔し涙を流す世良先生に、悔しそうに俯く美和ちゃん。
『それは誰もが通る道なんですよ。私も通りましたよ。その道。お父さんが医者でよく怒られてましたから』
世良「橘さんのお父さんって今は...?」
『もう亡くなっちゃいました...』
私の言葉に驚く2人。どうして亡くなったのかはわからない。そこだけ抜け落ちてる見たい。気がついたらお父さんは亡くなっていた...
『ダメよねぇ...皆川さん。いつもカーテン開けて窓の方に向いて言ってますよね?あれはここから見える桜の木に言ってるかもしれませんよ?』
世良「...桜の木...?」
花房「美咲ちゃんが言ってた?」
『はい。あとは頑張って下さいね』
優しく2人に微笑んで皆川さんの病室を出た。その後、皆川さんのCTを確認している渡海先生に呼ばれ仮眠室にいる。
『えっと、渡海先生?何か用ですか...?』
渡海「.....ん」
iPadをグイッと近づけられる。そこに映っているのは皆川さんの腹部のCT。
しかも、よく見るとこれって...
『.....動脈瘤ですか?』
渡海「ん、せーかい」
そう言って私の頭を撫でる渡海先生
『ありがとうございます』
それから、ココアをもらって飲んでいると、
渡海「そういえば、今日お前高階と話していただろ?」
『ふぇ...?』
猫ちゃん話したな...
でも、別に隠してた訳じゃなくてただ色々あって忘れてた
渡海「高階(あいつ)と話すの禁止」
顔が怖いです...
『ごめんなさい』
そう言うといつもの顔に戻り私の頬を優しく摘んだ。