A3 短編集

□A3! 短編集
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※時間軸はACT1。冬組始動前。

乃愛side

今日は、なべと天馬がお仕事で私がオフの日!!

天馬は夏組の旗揚げ公演以来、舞台の仕事も少しずつやるようになった。私は嬉しいぜ!!

ただし、殺陣の指導役がなべだって分かっていたら絶対仕事受けなかっただろうけど。天馬ドンマイ!!

るんるんとみんなの晩御飯を作っていると、乃愛さん!と太一に声をかけられた。

『んー?太一どったのー?』

「ずっと気になってたんすけど、天チャンって何で天和さんをあんなに怖がってるんすか?」

「あー、それオレも気になってた。
確かにあの人殺陣のこととかとなると鬼みてーに厳しいけど、にしたって天馬のヤツ、ビビりすぎじゃね?」

万里も参戦して何で天馬がなべにあんなに恐怖しているのかが知りたいらしい。

確かにここに連れてきた時のビビり様はヤバかったもんね!

私は"あの日"を思い出して、ぷくく、と笑ってしまう。

『いいよ!教えてあげる!
あれは天馬となべが初めて会った時−』



−−

−−−

−−−−

ことは4年前、天馬を主演とするドラマで時代ものをやるということで殺陣のシーンがあり、私の紹介で、なべが天馬の殺陣の指導役として選ばれた。

その頃にはドラマや映画に引っ張りだこな天馬だったから、ちょうどこの頃から天馬のオレ様な性格が始まってて−。

"乃愛さんの紹介とはいえ、その人高校生だろ?そんなヤツにオレの指導役が務まるのか?"

"……あぁ?"

もうそこからは地獄絵図だったなー(笑)
天馬の殺陣の指導の他に練習相手役を買って出たのをいいことに、天馬をボッコボコに打ちのめして、言葉という名の精神攻撃をあびせた後、通常通りのスパルタ稽古。

え?私はその頃何してたかって?
爆笑しながらムービー撮ってたよ??←

なべってさ、嫌々レディースの総長やってたとはいえ、やっぱり総長やるだけあって迫力半端なかったし、スタッフさんや他の役者さんたちもビビってたなー。ウケた!!

"何か言い残すことは?"

"も…申し訳ありませんでした…。"

当時のドラマの監督が待ったをかけるまで心身ともにボコボコにされた天馬は、それ以来なべには一切逆らえなくなりましたとさ!

『めでたしめでたし!』

「いや、全然めでたくねぇから。」←

万里さすが!ツッコミスキルも高いぜ!!

「つーか、天馬のやつ舞台のトラウマの他にも、えらいトラウマ植え付けられてんじゃねえか。」

あはは!確かに!!
天馬ってトラウマに愛されてるのかもね!全く嬉しくないね!!

天馬は基本ドラマや映画でも殺陣のアクションをやるより恋愛ものとかをやることが多かったから、それ以来なべと関わることは、あまり無くなったんだよなあ。

それでも、なべにとっては良いストレス発散になったのか天馬をいじり抜いた後めっちゃスッキリした顔してたんだよね!一見無表情に変わりはないんだけど幼なじみの私にはわかった!めっちゃツヤツヤしてた!!

天馬っていじりがいあるもんね〜。

「オ、オレっち天和さんに目をつけられないよう気をつけるっス…。」

顔を真っ青にさせカタカタ震える太一。
それが面白くて思わず、ぶはっ!と笑ってしまった。

「太一は素直ないい子だから大丈夫だよ!なべはどちらかと言うと万里みたいな生意気盛りな子のプライドをへし折りたいタイプだから!」

「おい。いい笑顔で何サラッと、とんでもねえこと言ってんだアンタ。」←

いや、だってホントのことだし。
天馬もオレ様でプライド高かったから、へし折った時はホントに楽しそうだったもんなー。

そして安心して万里。
君は初めて会った頃から既に目をつけられているから、へし折られるのも時間の問題だと思うよ。

そうして3人でわちゃわちゃしてると顔を真っ青にして死んだ目をした天馬が帰ってきた。

『あ!天馬おかえりー!』

「おかえりじゃない!
何で天和さんが指導役だって教えてくれなかったんだよ!?」

『聞かれなかったから!』

「おい!?」

どやあ!と胸を張る私に全力でツッコむ天馬。うん、やっぱり万里のツッコミもいいけど天馬のツッコミが1番しっくりくる。

この様子だとまたガッツリいじめられてきたんだろう。可哀想に!ウケる!!

「天和さんがいるって分かってたらこの舞台の仕事受けなかったのに!」

『へぇ…誰がいたら受けなかったって?』

「ひっ!!」

うわあ!天馬の背後に死神がいる!!←
天馬もおバカだなあ。天馬が帰ってきてるってことは、なべがここにいても何らおかしくないのに!

『まだ指導が足りなかったみたいね。
元気がありあまってるっぽいし追加で稽古付けてあげる。』

「いや…オレは、その…。」

『文句あんの?』←

「喜んで行かせていただきます!!」←

ぶははは!!ウケる!!
今スマホがないのがおしいなー!幸に見せてあげたいこの光景!(笑)

『ついでにアンタの根性も叩き直してあげる。』

「は!?なんでオレまで…!!」

そして万里も巻き込まれた!
もうダメ!笑いすぎてお腹痛い!!

太一は私の背後に隠れてカタカタ震えていた。小型犬みたいで可愛いね!よしよし、と頭を撫でてあげた。

天馬と万里の服の襟を引っ付かみ、稽古場へ引きずるなべ。2人が生きて稽古場から出てくることを祈ろう。

ところが結局夕飯の時間まで出てこなかったので臣に様子を見に行ってもらうと屍のようになっている2人とツヤツヤしたなべが現れ、幸と至と私の3人は大爆笑。

万里を、このまま調教できるかもしれないと踏んだ左京さんは、なべに定期的に万里を扱いて欲しいと頼んで、それを快く引き受けた、なべであった。

なべに目をつけられたが最後なんだよ。
ドンマイ2人とも!!


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