A3!

□バットボーイポートレイト
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乃愛side

夏組公演も無事に終わり次は秋組公演。
夏組の時は天馬をスカウトしてたからオーディションの時もいたけど、秋組オーディションは特に私がいなくても問題なかったので仕事をしまくっていた。

冬になればダリアの卒業公演で忙しくなるし、秋組公演の曲作りの時間も作るためにも今のうちに仕事を詰め込んでるんだ!

暫く働き詰めでヘトヘトだけど今日漸く秋組メンバーとご対面だ。わくわく!

『ただいまー!』

わくわくしながらドアを開けると−−

「なんだ、コラ。」

「やんのか、コラ。」

ヤンキー二人が怖い顔でメンチ切りあってました。←

うわー!ヤンキー久々に見た!!
今どきいるんだね!こんなわかりやすいの!ウケる!!

ここにいるということは十中八九、秋組の新メンバーだよね。またキャラが濃そうなの来たなー。

そう思っていると…

「か、かかか可愛い美少女が…!!」

『うむ?』

赤髪の男の子が顔を真っ赤にしながら、こっちを見ていた。なんかチャラそう!でもワンコっぽくもあるから咲也とカズを足して二で割った感じだね!!

「あ、あああ、あの!
男の子じゃないっすよね?女の子っすよね!?」

『ぶはっ!!』

男の子!!初めて聞かれたそんなこと!!

大方、幸にもこういう反応をして一刀両断されたんだろうなあ。オーディションの時いればよかった!

『安心してー!アイ・アム・レディー!!』

「良かったー!あ、オレ、七尾 太一っス。」

『響木 乃愛!ダリア専門学校2年の20歳っス!!』

二パッと笑って彼の自己紹介の真似をすれば、ダリ専!?ていうか20歳!?とビックリした様子の太一。なんか久々だなーダリ専って言って驚かれるの(笑)

年齢には常に驚かれてるから久々じゃない!なんならつい先程仕事場で驚かれたから!どやあ!!

「あ、オレのことは太一って名前で呼んで欲しいっス!」

『私も乃愛でいいよー!よろしくね、太一!』

そう言えば、よろしくっス!って笑顔で返してくれる太一。なんか年上に好かれそうなタイプだなー!素直なワンコタイプな感じ。可愛い!!

頭をわしゃわしゃ撫で回すと、わわわー!って顔を真っ赤にして動揺してた。弄りがいがあるのぉ。うしし!!

「おーらおら、太一のキャパが限界だから、そろそろやめような。」

太一で遊んでいると最近聞いたばかりの声に止められた。

『あ!臣だー!!』

「久しぶり、ってほどでもないな。」

わー!臣がここにいるということは役者として入団したってことか!!未だに睨み合っているヤンキー二人も揃ったら、なかなかいかついね!!

「ん?お前、春組の稽古の時にいたチビか。」

『!!』

…なんで、この人もいるのかな。
声がして方を見ると春組の稽古の時にいたヤクザさんがいた。監督がスカウト枠は二人声をかけていると言っていた。

一人は臣だとして、もう一人はこの人って事なのか。監督、真澄じゃないけどストライクゾーン広くね?取り立てに来てたヤクザ、スカウトする?普通。てかマジでガラ悪いメンツ揃いすぎじゃね??太一だけだよ今のところの癒し。臣はガタイ良すぎるから除外で。←

『……こんにちは!』

無視も良くないので、とりあえず挨拶をする。正直、ヤクザにはいい思い出がないから避けたいところなんだけど、秋組メンバーに入ったのであればこれから関わっていかなければならない。

無理やり笑顔を作って挨拶をする。
ヤクザさんは何か言いたげだったけど、何も言ってこなかった。

ていうか……。

「失せろ、クソが。」

「てめぇが失せろ。」

まだやってんの!?ていうか短いやり取りテンポよくポンポンいってるね!ボキャブラリーは少ないけど案外仲良いんじゃね!?

しかし、ヤクザさんの視線から逃れるためにも二人に挨拶しときたいので−−

『久々のハリセン二刀流からの喧嘩両成敗ー!!』

「っ!!」

「いってぇ!!」

ハリセンを二人の頭に叩き込んだ。
久々だから、ちょっとテンション上がって思いっきりいっちゃったけど、ヤンキーだから丈夫だろうし大丈夫だよね!あ、今のダジャレっぽい!後でシトロンに教えてあげよ!

太一のどこから出したんすかアレ!?っていう驚きの声と、あぁ久々に見たな乃愛のハリセンってニコニコと昔を懐かしむ臣の声が聞こえてきた。

「ってぇな!何すんだガキ!」

『ガキじゃないもん!
こちとら20歳のレディなんだよ!!』

「は?レディ?
そういうのはもうちょい背が伸びて肉付き良くなってから言えよ。」

そう言って鼻で笑うワンレンくん。
今どこ見て言った!?胸か、胸なのか!?

仕方ないじゃん!毎日セ〇ビック飲んで頑張ってるのに成長しないんだもん!!

育乳だって試したことあるんだぞ!無駄だったけど!!←

『まだ25まで諦めませんー!
これからナイスバディになるんですー!!』

「へー、そりゃ楽しみだなー。」

ニヤニヤと棒読みで言ってくるワンレンくん。セクハラで訴えてやるからなー!!

『私は響木 乃愛!君は?ワンレンセクハラくん!』

「いきなり自己紹介かよ…てか、変なあだ名付けんな!」

そうツッコミを入れられながらも、…摂津 万里、と不機嫌そうにボソッと呟かれた名前。意外と律儀なんだね!いい子!!

『そっちの君は?オールバックくん!』

「…兵頭 十座。」

『名前カッケー!よろしくね!!』

っす…。と頭を軽くさげながら挨拶をしてくれた十座。真面目ないい子だ!!この子絶対いい子だ!!

あれだよ雨の中捨てられた子犬に傘を差す、みたいな感じのが出来る子だよ、きっと!!

思わず十座の頭をわしゃわしゃ撫でるとバッ!と距離をとられた。悲しい!!

「名前でカッケーとか、やっぱガキじゃん。」

『なになにー?万里も構って欲しいのー??』

ほれほれー!と万里の頭をもみくちゃに撫で回す。やめろ!って距離を離されるけど追いかけ回して撫で回し続けてやった。

なんか、なべが好きそうなタイプだなー。生意気なのをへし折りたいって性格だからあの子!

「室内で走り回るんじゃねえ!
ガキじゃねぇんだから大人しく座ってろ!!」

『ぴっ!』

「へいへい…。」

ヤクザさんの一喝でカオスな空間は終わりを迎えた。




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