A3!
□バットボーイポートレイト
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乃愛side
秋組始動までに仕事を頑張ってきたおかげで今日は朝から学校に行ける。
そろそろ卒業公演の曲決めちゃわないとなー…作るのアーティスト科だけじゃないし。
欠伸を噛み殺しながら部屋を出ると…
「真澄くん、早く起きないと遅刻しちゃうよ!」
「すぅ……。」
「真澄くん!」
おおう、花学組は朝から(主に咲也が)大変だなあ…。
寮生活を始めてからすっかり見慣れた真澄の面倒をかいがいしく見る咲也の図。こういう時は私の助太刀があれば1発だよ!
『真澄!ちゃんと起きてしっかり学校に行けば、後で監督の可愛い写メ送ってあげるよ??』
「早く行くぞ、咲也。」←
「待って乃愛ちゃん、写真ってどういうこと!?」
悪魔の囁きをすれば真澄の意識は一瞬で覚醒し、先程咲也に引き摺られていた真澄はどこへやら、逆に咲也を引っ張っていってる。
監督のツッコミはスルーで!写真の出処は企業秘密だよ!どやあ!!
これで、中高生組は全員登校したかと思いきや…
「ふあぁ、ねみ……。」
ここにもまだ一人いた。
『万里ー、遅刻しちゃうよ?』
「あー…いいんだよ。三限から行く予定だから。」
体調が悪いのかと聞いたら、返ってきたのは堂々としたサボり宣言。勉強しなくても成績は常に上位、単位も計算して学校に行っているらしく、行かなくてもいいとのこと。
はー!ホントにいるんだー、そんな漫画のキャラにいそうなの。
監督の行きなさい!という言葉も何処吹く風。典型的な不良だー!!
「ふああ……くそねみ。」
『至おはよー!』
「おはよ。乃愛ちゃん朝から元気だねー、うらやま。」
『元気が私の取り柄!!』
どやあ!!と胸を張ると、そかそか、と頭を撫でられる。子ども扱いされた!!
監督が至の目の隈の心配をしてたけど問題はない。ただ単にゲームのイベを走ってただけだから。
最近至に誘われて音ゲー以外もやり始めてて、今至がやっている"ブラウォー"もやっている。
音ゲーと全くジャンルが違いすぎて苦戦してるけど至が共闘で上手いことフォローしてくれるし、音ゲーで私に勝てたことがなかったから、ちょっと優越感も持っているのだろう。手取り足取り教えてくれる。
「"NEO"って奴死ぬほどうざい……
今日も仕事の合間に戦績稼がないと……最悪有給使って……。」
『あー、凄かったよね!
私さっきギリギリ戦績抜かせた!』
昨日の夜、気づけば抜かされていて大慌てで戦績を抜き返した。至と同じく仕事の合間にやったり最悪徹夜でやったりしている。最近すっかりゲーマーになってる気がするー。
「あ、NEOって俺っすけど。」
『およ!?』
まさかの隣で衝撃発言が聞こえてきた。
うそ、万里がNEO!?私と至が死ぬほどやり込んでるのに高校生に抜かされてたの!?うがー!なんか悔しい!!今日も授業の合間に頑張ろう!!
「ランキング争いってことは、至さんが"たるち"で乃愛さんが"ヒビノア"っすか。昨日の深夜、一瞬俺が戦績抜いたっしょ。」
「……まじでお前がNEOかよ。」
たるちが神ゲーマーだと聞いて潰そうとしてたらしい。うわー廃課金ゲーマー相手にやるねー。私は無(理のない)課金だけど!!どやあ!!
監督さんが一触即発!?って感じでおろおろしてたけど大丈夫。
「今日の夜、共闘付き合え。
難易度HELL級の突入メン足りなかったから丁度いい。」
「了解。」
『おー!まさかの最強タッグだー!!』
至はゲームにおいては相手が強ければ強いほどガンガン燃えるタイプだし、たるちほど凄腕ゲーマーになると余程の腕がない限り共闘は厳しい。私も最初は全然ついていけなかったし。
だから心無しか楽しそうな至は上機嫌で、じゃ、いってきまーす。と玄関に向かう。
『あ!私も行かなきゃ!行ってきマウスー!!』
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その日の夜、綴と脚本&作曲の相談がてら稽古の見学に来た。
支配人に聞いたところによると、秋組は身体能力に長けた役者が多く、派手なアクションがウリだったらしい。
春組は王道ファンタジー、夏組はコメディ、とこれまで初代の特色を受け継いできたから今回もそれがいいだろうということになった。
みんなガタイ良いから丁度いいね!
太一も運動神経良さそうだし!!
ただそこで一つ問題があった。
「でも私、派手なアクションって経験ないから指導が難しいんだよね……
ロミジュリの時は少しだったし雄三さんがいてくれたから、どうにかなったけど……。」
「アクションがメインとなると、具体的な動きもちゃんと考えなきゃだから雄三さんに頼りっきりなのも、マズいっすよね……。」
そう、前はラストシーンだけだったし、咲也と真澄の二人がメインだったし、雄三の超絶扱きがあったから何とかできたけどアクションがメインとなると時々来る雄三だけでは無理があるし、全体的なアクションの構造を考えないと始まらない。
そんな振付師がいれば……
あ。
『監督!!
私知ってる!アクションの指導が出来る振付師!!』
「ほんと!?」
『うん!ちょっと電話で聞いてくるー!!』
私が知ってる超一流の振付師がいれば、きっと最高のアクション舞台になるはず!!
勢いよく稽古場を出て、スマホを取りだし、目的の人物に電話をかけた。
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