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□恋人
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【唯side】






濱岸「〜♪」


『………………………………』





さ、寂しい。
ひよたんが漫画やアニメが大好きで、極度のインドアタイプっていうのは知ってた。
私もそんなにアウトドアな方じゃないし。
だけど、恋人の私を部屋に呼んどいて、漫画にアニメって…。





ここに私といういい相手がいるじゃないか!
そんな画面の中の相手にキャーキャー言わなくったって!
笑ってなくったってっ!




家からでてデートしようっていってるんじゃない。
構えって言ってるんだ、構えって。
でもなんだか、素直に構ってなんて言える私じゃないから、
『別に私も暇じゃないですよ』っていう顔で雑誌を読み漁る。
ま、私の趣味は大好きなメンバーが写ってる写真を見ること。
だから雑誌とかを仕事帰りに買って家で読んでるの。













でもそれ今しなくて良くない…!?
そんなの、1人でもできるじゃん。






せっかく、付き合えたのに。
付き合って6ヶ月だよ、私たち。
まだ捨てたもんじゃないでしょーが。
付き合いたての初々しさに戻りたいな。
でも、その初々しい時の私たちがお互いに見せる素じゃないんなら、いいや。
私はどんなひよたんでも好き。
ひよたんが好きなの。他じゃ多分私じゃない気がして。
ひよたんじゃなきゃ、私は付き合えない。
まぁ、ひよたんとつきあってる以上、それが当たり前だよね。




濱岸「唯。雑誌読んでるの?」





「全然ページめくらないじゃん」って言われて少し焦る。
ていうか、誰がこんなときに真剣に雑誌読むんだまったく。



『…読んでないし』


濱岸「…何怒ってるの?」




私もさすがに嫌気がさして、ふいっと目線をひよたんから外せばテレビの前にいたひよたんがソファにいる私の頬を掴む。



『いひゃい。』


濱岸「いいなさい」


『かまって』





もうこの際だから言ってしまおうと吐き捨てるように間髪入れずに言った。
恥とかそんな前になぜだか今日は我慢ならないほどひよたんに構ってもらいたいらしい自分。




濱岸「やけに素直でらっしゃる」




いつもそんなこといわないじゃんってひよたんが掴んだ頬を上下に揺らす。
「どうしたの、可愛いね」っていうから、掴んでる頬が別の意味で赤くなって、自分でもらしくないなって恥ずかしくなる。




ひよたんってそういう面では堂々としていて、でもどこかいやらしさがなくて潔い。
まぁ、つきあってる私からしたらむしろ気持ちいいと言いますか…。



濱岸「唯ー。私の顔みてどうしたの」





私そんなにみてたっけ。
まぁ、ひよたんのことを頭で考えているからたぶん無意識にひよたんのことみてたのかな。




濱岸「そんなにかまってほしかったの?ひよたんに」


『……うん(コクン)』


濱岸「じゃあおいで」






そういって手をひかれ、私はひよたんに座らされた。
そしてひよたんは私の後ろにすわって、両手を私に回す。



『なんでその位置なの?』


濱岸「だって唯、小さいし。私はこっちのほうが唯を包込めて好き。」





この体制嫌いではないけど…。
私が顔みれないんだよなぁ。
あ、でも





『アニメは?…いいの?』


濱岸「唯が寂しいなら、いい。ぎゅーっとしたげるから」




いつもまにか消されたテレビは私たちのほうを向いて暖かい眼差しをむけているようで、恥ずかしくなった。




『でも私、ひよたんがみたいのあるなら待ってるから』


濱岸「私、唯に気を使われるのやだよ?」





そういって私を抱きしめる手を強めるから、胸が苦しくなって。
こんなに近いから、心臓の音聞こえるんじゃないかって。
やっぱり、むかいあってハグしなくてよかったな。
だって、こんな顔、ひよたんにみせられないしみせたくない。
好きな人にされるからこうなるってだけ。





『ひより、大好き』


濱岸「私もだよ」




耳元から聞こえるひよたんの声が心地よくて、私はその心地良さに任せて目を閉じた。





end


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