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□おじゃま虫
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【唯side】







丹生「ここは偏差撃ちでいこう…」


『いけいけー丹生ちゃーん!』


丹生「いけー丹生っ!」





休日の午前中はこんな感じ。
寮にいる私たちはどちらかの部屋に集まってはゲーム。今日は丹生ちゃんの部屋だけど。
いつもは美玖とか美穂がいるけど今日はたまたまいないから2人。





丹生ちゃんはゲームするとき正座だから、後ろから抱きつきやすいんだけど、背が高くなって画面見づらいんだよね。





私としてはどこかにデートにいきたいんだけど…。
目をパチパチさせながらゲームしてる丹生ちゃんを見てるといいづらくて…。




丹生ちゃんがゲーム好きなのは知ってる。
そこも好きだよ、だって私もゲーム好きだもん。
だけど、せっかく付き合えたんだしどこかに出かけてもいいよなぁって。



わかりやすく、最近できたカフェの話とか移動のバスでしたんだけどなぁ。




丹生「みてっ!唯!ビクロイ!」


『おぉっ!おめでとさすが丹生ちゃん』



ビクロイが出たーってにっこにこにっこにこしてる丹生ちゃんをみてると場が和む。
ほんと日向坂の象徴って感じがする。
こういう丹生ちゃんをみてると、『やっぱりでなくていいかな』ってなるけど、いや、ここはまげないぞと一心して話しかけてみる。





『丹生ちゃん、たまの休日どっかでかけない?』


丹生「ん?今?」


『だめかなぁ』



質問が質問で返ってくるとは思わなかったからビックリした。
おでかけが嫌なタイプじゃないと思うから、断らないとは…思うけど。




丹生「うん、いいよ。けど、どこいく?」


『うーん、ほら前言ってたカフェとか』


丹生「いいよ!いこいこ」




「んじゃあ、着替えて早く行こう」って意外と乗り気な丹生ちゃんをみて安心する。
私もどっちかっていうとインドアだけど、丹生ちゃんはやっとできた彼女だからたくさんいろんな所へ出かけて思い出を増やしたい。



丹生「ねね、唯。どっちがいいかな」


『んんー、このロングスカートがいい』


丹生「はいはい、これねー」




『ま、丹生ちゃんは何着ても似合うけどね』っていうと「ありがと!唯に言われると嬉しい」って言われて、彼女を照れさせるためにいったのに、こっちが照れそうになる。





同い年ということで自然と仲良くなってお互いに惹かれあってって感じで付き合って今に至る。
私としては友達の延長線上にあると思われたら困るんだよね。
前に金村と美穂にいわれた「丹生ちゃんと唯って、ほんとに付き合ってるの?」って。
私はすかさず、『どういう意味?』って少し声を低めに答えた。
さすがの私でも怒る。
丹生ちゃんのことが大好きで告白だって緊張して、初めて手を繋ぐのも丹生ちゃんに気を使われるほどあからさまでカッコ悪かったのに。
「なんか、前見てた光景と変わらなくてさ。付き合ったならもっと雰囲気かわると思ったんだけど(笑)」って。





…それはちょっとわかるかな。




たしかに、付き合う前と今とでお互いの対応も変わらないけど、たしかに丹生ちゃんは私のになったんだ。



「でもさ、ほんとに丹生ちゃんのことになると人かわるね唯は(笑)」って言われて少し恥ずかしくなったのは忘れない。
たしかに、私は丹生ちゃんのことになると少し熱くなるところがあるのかもしれない。
だけどそれはやっぱり丹生ちゃんがはじめてだから。
こんなに好きになって、こんなにキスしたくて、こんなにずっといたいって思う人。
丹生ちゃんがはじめてだよ。





丹生「唯っ!行くよっ!」


『えぇ!?』




「唯ずーっとボーッとしてたからびっくりしたよ、もう私でれるよ?」って顔を覗き込んできたから、我に返る。
やっぱり、近くで見る丹生ちゃんの顔は同い年だと思えないぐらい綺麗。





『いこっか、丹生ちゃん』













♢ ♢ ♢







丹生「唯っ!このパンケーキおいしいよ!」


『丹生ちゃん、私がたのんだのもおいしいよ』




ポカポカ陽気の外を2人で歩いて、カフェについて。
意外と空いてたから早く料理がきて、写真をパシパシとったら、ナイフとフォークをもつ。
お互い甘いの得意だから、どんどん手が止まらなくなって。
私はたまに食べ進める丹生ちゃんを見ながら『あぁ、きてよかった』とか『かわいいなぁ』って思った。




丹生「なにさっきからこっちチラチラみてるの?」


『いや、別に?(笑)』



たまたま、こちらをみた丹生ちゃんと目があってお互いその光景がおかしくて吹き出した。
丹生ちゃんは私に見られてたのが恥ずかしかったのか顔が少し赤くなっていた。




『おいしかった?』


丹生「うん、すごく。またこようね」




彼女のまたこようねに、テーブルの下でガッツポーズ。
なんかその一言を聞けてよかったなって。
なんか、初めて丹生ちゃんをエスコート(?)できた気がするぞ




『どう?ゲームする休日よりよかった?』


丹生「んー…」



丹生ちゃんは手に持っていたナイフとフォークをおいて、口をティッシュでふいて、こっちをじーっとみた。



丹生「私は唯といればなんでも楽しいから、別にゲームしてると楽しいとかじゃないよ?」




「変なこと聞くね唯」っていうから、




『それだけ丹生ちゃんが好きってこと』





って返すと、





丹生「ふふっ、私もだよ」





って。


















































『ってことがあったから、心配されなくても、ラブラブですぅ!』


渡邉「でた、負けず嫌い」


金村「可愛いね、唯」





『負けず嫌いじゃないよ』っていうと、「丹生ちゃんのこと好きなだけだもんね」って金村に宥められた。
それは事実だから否定はしないけどね。






『頭なでないでよ、ばか』


金村「ごめん、ごめん(笑)」




そうしていると、近くで大きな音が聞こえだして、びっくりする。
…ゲーム音?
まぁ、この楽屋にゲームしてるっていったら1人しかいないから。
はなしかけにいこうかな、急に音量上げてどうしたのって。





『丹生ちゃん、また音量上がってるよ』


丹生「あ、ごめんごめん!つい夢中になると大音量で楽しみたくなっちゃって」


『だよね。わかる。』











渡邉「…みた美玖」


金村「うんみた…」


渡邉「あれはさ、完全に丹生ちゃんの罠だよね」


金村「丹生ちゃんって意外と唯に対して奥手なのかな。」


渡邉「いや奥手というより、なんか唯の性格わかってるよね。」


金村「いつもあの手をつかって唯を自分のもとに帰してるのか…。いやぁ〜頭よっ!」










end


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