Novel

□ツミとバツ
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「どうして!どうしてあんただけ辛い思いをしなきゃなんないの!?」


しゃくり上げて泣いているのか、声が途切れがちだった。


「夏実…あ…りがと…っ」



それから、ひとりきり泣いた。

ただ大声で泣いた

泣くしかできなかった




…しばらくして、十和子が合流した。


彼女もただ抱きしめてくれた…




「…誰の子供ですの?」



十和子の問いに、むぎはビクっと肩を揺らした。


「…御堂さま?」



違う違うとでも言わんばかりにむぎは俯き首を横に振った。



「…じゃあどなたですの!?あなたに不貞を働いた殿方は!」



あぁ…
十和子には…

話してないんだった…



「…聞いて…くれる?」
「…えぇ。…あなたが…話してくれるなら…」


「……あのね…―――」






十和子は抑揚の無い表情で話続けるむぎを もういい! と止めた。

そして、むぎを抱きしめた。



貴女には私達がいます。

と。


泣かないで
大切な貴女に泣いて欲しくない。

どうして、貴女を泣かせるの?
何が、貴女を苦しめるの…?




結果は
自分が予想していた通り

絶望なんかでは無く


自分のお腹に宿った小さな命を


無性に愛おしくなり


二人で生きていけるかな?

お腹を一撫でした。
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