Novel
□Love you Loved you
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泣かないで
貴方に、涙は似合わない。
笑ってよ
いつもみたいに傲慢に。
目下に映るのは、強者のひざまづいた様。
なぜ、頭を下げられているか、解らない。
如何して涙を流しているか、解らない。
貴方は、強い人のはずでしょ?
「…一哉く…ん」
彼は、息を切らして教室へと走ってきた。
あたしを見つけると、何も言わずに離れまで腕を引かれた。
「…許してもらえるとは思っていない…ただ、させてくれ」
彼の声は震えていて
酷く、弱かった。
「………」
しゃがみ込んで、そっと肩に触れた。
途端に、ビクっとなり、彼が顔を上げた。
「…ごめんね、一哉くん…ごめん…ごめんね…」
あたしと出会わなければ、彼はこんな風に、頭を下げることは無かったと思う。
だから、何回もごめん。とだけ言った。ソレしか、言えなかった。
「…幸せに…なれよ…」
「…ぇ…?」
「…幸せになれと、言っているんだ」
彼の頬には、涙が流れていた。
きっと、本心とは違う。
鈍いあたしでも、分かった。
「ただ…最後にあがかせてくれ」
そして、笑った。