Novel
□ツミとバツ
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放心状態とは今のような状態をいうのかもしれない
言い知れぬ吐き気に襲われ、自分に生理が二ヶ月来て居ないと、思い出し、真っ白になった。
アノ日から二ヶ月。
あたしはあの家を飛び出した。
麻生くんも、瀬伊くんもあたし達三人の異様な空気に気づいてくれてたから脱出の手助けをしてくれた。
今は、夏実の家に匿ってもらってるのだが、そうは長くは居られないだろう。
「…むぎ!大丈夫!?」
「なつ…み……どう…しよ…」
涙が、ぼろぼろと零れてきた。
確かではない。でも、絶対確実だと思った。
「むぎ…落ち着いて。何があったの?」
夏実の声は優しく耳に響いて、真っ白だった世界も少しずつ色が戻ってきた。
「…ぁ…あのね…」
「うん」
「妊娠しちゃったかもしれないッ」
途端、夏実が立ち上がった。
しばらくして戻ってくると、手には電話が握られていた。
「十和子には今連絡しておいた。…すぐ来るって。
あんたは…一応病院の予約いれな。絶対だよ」
コクンと頷くと、電話を受け取った。
「―――…ありがと」
電話を返そうとしたら、夏実が抱きついてきた。
「夏実っどうしたの?」
夏実は泣いているようだった。
肩口が、濡れている。
「バカ…馬鹿っ…一人でいっつも辛いこと溜め込んで…!」
ギュッと腕の力が強くなった。