Novel

□真っ暗
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君を失ってしまったら

きっと、俺は

また、真っ暗闇の中を

ただ、一人彷徨うのだろう




-真っ暗-


「…い…依織くん…」
「…何?むぎ」
「その…っ」

顔を伏せ、むぎは言いよどんだ。
どうしてだか、今の彼は恐ろしかった。
笑みをたたえているというのに、瞳は完全に冷え切っていて…

冷たい汗が、むぎの背中を伝った。

「何か…その…恐いよ…」

目を合わせないで、俯いたまま言った。
そして数秒たっても、彼は何も言わなかった。
さすがに不安になって、顔を上げてみると…

「恐い?ああ、そうだろうね。今、俺は怒っているからね」

上げたと同じタイミングで、顔を両手で持ち上げられた。

「な…なんで?」
「…さぁ、どうしてだろうね?」

強引に唇を重ね、苦しくなるくまで舌を絡める。
窓際に追い詰めて、下着を膝の辺りまで下げた。

「ゃ…やめっ…」
「…少し…黙ってて…」

ハンカチを口に押し込むと、むぎは大きな瞳を更に大きくして涙を零した。


怒っていた。本当に。

誰にでも笑顔を振りまく君に。
いつでも無防備な姿を晒す君に。

一方的な独占欲は、傷つけるだけだから…と心に閉まって置いたはずなのに…

男子生徒から告白を受けている君を見て…閉まっていた物が崩れていった。


窓に手を付かせ、後ろから揺さぶると、むぎは拒絶の声を上げた。

ハンカチを口から出してやると、拒絶がもっとリアルに聞こえた。

「ぃやぁ…依織くんッ…もう…や…めてよぉッ」

窓の外からは生徒が多数見られる。
目のいい生徒なら、この痴態も見られるだろう。
むぎはソレも嫌がっているのだ。

「…ほら…むぎ。見えるかい?…あの男子生徒は、君を熱心に慕っていたね」

依織が指差したその人物は、むぎに告白した生徒だった。

「依織くん…知ってたの…?…ぁあっ!」
「さぁ…どうだろ?」


君を失ったら

俺は真っ黒な闇にまた沈んでしまう

君が俺を救ってくれたなら

俺は君を堕とそう


果てて、荒い息をするむぎを優しく抱き寄せ、耳元で囁く


「愛してるよ」

と、最上級の束縛を。


▼△▼△
暗い;シュチュは学校です。
嫉妬むき出しな松川氏。むぎチャンに同情!
愛はあるんですよ!愛し合ってるんですよ!
ただ、松川氏は我慢の限界を超えると鬼に豹変する!
…みたいな?
久々の裏でした★ 紅花。
 

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