剣の街の異邦人Winリプレイ・キリリ編

□3・リプレイ2-マリリス
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『エスカリオ、再びの始まり』
悪い夢を見続けて、醒めた中がまた別の夢の中だったら。
悪夢の中から引き上げられてもう一度悪夢を見るのだとしたら。
でも、そんな事は世の中いくつも転がってる。
夢は夢で済むけれど現実の方がずっとタチが悪いってこと…。
この世界には神様が居て、神様は目に見える。
三本の道の一本の行き止まりに私は辿り着いて、今再び違う道の最初に立っている。
この剣の街の歴史家と神はこれもまた勝手に私の意志だと決めつけてくれる。

「いったぁ…」
痛む体のあちこちを感じながら、私は、天那夕は目を開けた。
私は修学旅行に向かうための飛行機事故でこのエスカリオの一点である鉄の廟に放り出された。
何故この場所の事を知っているのかは別の道についてを見て貰えれば分かるはず。
残念ながら、私は忘れてしまいたいことの何もかもを覚えているし、それを示す全てを持っている。
愛用の剣と拳刃をしっかりと抱えて、私は改めてこの場所に放り出されたんだ。
「…これは持ってる。
…全部覚えてる…か。」
それはかけがえの無い、同時に辛い記憶でもある。
「とにかく、ここを出なきゃ。
さもないと…。」
歩き出そうとした私の前に、初めてここに来た時と同じように老人が立っていた。
でもその態度はまさに最初に出会った時と同じもの。
そして、この鉄の廟を出るまでの間に起こる出来事…、リウさんとの出会いとキョウさん、アンナさんとギリウスさんとグルルバさんとの出会いも何もかもが最初に戻っていた。

でも、戻っていない事も…私と同じ状態のことも有る。
それは別の道で出会った大事な仲間たち。
彼らは、はじめまして、ではなく再会の挨拶をしてくれた。
皆覚えている。
私との別の道を。
あの戦いを。
それが全ての救いに思われた。
改めて、ギンガーさん、ケンジさん、エリちゃん、マリンさん、アレクさんとの再会と…マモルさんたちとの再会。
でも全部が全部一緒じゃない。
新しいメンバーとの出会いも有る。
秋葉尋(あきば ひろ)さん、高橋光輝(たかはし こうき)さん、朝倉忍(あさくら しのぶ)さん、そしてユージェニー・エリクソンちゃん、フェリックス・ケーニヒさん。
忍さんはシノ姐さん、十三歳のユージェニーちゃんはミグミィになったんだけど、これが可愛いんだわ!
元々大きくない体が余計に小さくなったって本人は嘆いているけど。
愛称はユージー。
それからフェリックスさんの愛称はフィル。
この人達を見ていると、人間のまま放り出されても決して元の姿のままとは限らないって言うことを教えてくれる。
シノさんは金色の瞳だし、フィル君はいきなり髪の毛が伸びたって。
そういえば、リウさんも、瞳の色が青いんだった。
気を付けていなかったけど、リウさんの瞳が青いのは器の力の影響なのかもしれない。
今にして思い出すけどアルムだって…。
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