剣の街の異邦人Winリプレイ・キリリ編

□2・リプレイ1-アルム
2ページ/115ページ

肩を寄せあって歩いているアレクさんとマリンさん二人にギンガーさんは咳払いする。
「お前さんがた人間やエルフがひ弱すぎるんだろうに。
俺も攻撃の補助は欲しいと思ってるから反対する理由は無い。
だがな、そうやって緊張の場に赴く時に要らぬ感情交換を見せるのは止して欲しいものだ。」
ギンガーさんが言う事も一理有るかな…。
私も、町中でベタベタしてるカップルを見るのは好きじゃないし。
二人が外国人だから耐えられる感じだし。
「それにしても、ストレートってどんな感じなの?」
エリちゃんに振られて私はそうねえ、と少し考えを巡らせる。
「ネオロマンスゲーム臭がするわね。
タイプとしたら、いきなり手首掴んで”お前が気に入った。俺のものになれ”みたいな…。
あれで女好きだったら、あの船の中は女の人だらけな気がする…。」
今にすれば、”互いに運命を共にするかもしれない相手”なんてこと言ってたしねぇ。
純血晶を貰う貰わないだけの話だとは分かるけど、恥ずかしいセリフをしれっと言うし。
病気じゃなかったら、船の中が本当にそうなってたかも。
その気になればそういう事が出来る特権者なんだし。
「ふえー。
ってことはユウちゃん、何かそれらしいこと言われたの?!」
「まさか!
あの当主様の目に入るのは純血晶だけよ。
私の事はきっと純血晶を捧げに来る棒人間に見えてるわ。
こーんな巨乳の、エルフ美人が傍に控えているから尚更よ。」

まだレインさんに会っていないから分からないだろうけど、私は手で示してみせる。
ケンジさんはマジか!なんて言ってるけど、レインさんに比べたら私は自虐でもなく棒人間みたいなものでしょう。
「それに反応しないのも男かどうか疑っちゃうなぁ〜。」
「小さい子供の時から見てるんでしょうから、慣れてるのよ。」
そんな話が盛り上がっているとブーッ!!と吹き出す音に私もエリちゃんも他の皆も驚いて固まる。
「い、いやな…、その、急にさっきのネオロマ臭の話思い出して。
あいつがストレートの豪速球投げてくるところをつい想像しちまって。」
エリちゃんもさすがに呆れたみたい。
「確かに笑えるけど、いきなり噴出すほどツボ?」
「ケンジさんはキャッチャーだから、それもそれでストレート発想ですね…。」
銃のホルスターは右に有るから、左投げ、ストレート…。
問題は誰がキャッチャーかなんだけど。
想像すると笑えるけど、こらえなきゃ。
さて、そろそろくだらないじゃれあいはやめておかないと。
寝込んで居ないことを願って私は商会と当主アルムの住まいである豪華客船に向かった。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ