剣の街の異邦人Win体験版リプレイ・キリリ編

□3・器との対面
2ページ/7ページ

ヘルガさんの言葉の後に現れたドレスの女性が、マリリスさん…、呼ぶならマリリス様の方がいいんだろうけど…。
落ち着いた空気、大人感。
まさに女王様!
でも、ヘルガさんみたいな無表情、慇懃無礼の不快感は無かった。
彼女が言うようにさすがにここでくつろぐ、というのは難しいとしても外部で休みを取れる場所が有るのは屋根が無い状況よりは遥かにマシ。
放り出された日の事はまだ忘れていないから。
挨拶が終わると、リウさんとマリリスさんは楽しそうに話を始めた。
呼び捨てとか、そういう風に出来るのが凄いよ。
私はリウさんとも少し離れていれば、マリリスさんからも更に離れてる。
馴れ馴れしいのも変だし、気の利いた話も持ってない。
それでリウさんが今と違って物凄くおとなしかった事を知って、私も思わず驚いてしまう。
本来、猛々しくて雄々しい魂…ね。
女の子にそれって微妙な感じもするけど、可憐で儚い、ではこの世界はまかり通らないんだと思うし、丁度いいんだろう。
改めてリウさんに話を振られ、私はマリリスさんに挨拶した。

リウさんみたいに親しく出来るかは別としても同じ女性としてマリリスさんに何か相談することは有るのかも知れないし。
今日みたいに純血晶を渡しに来る事だって出てくるんだから。
でも、ここで気になるマリリスさんの言葉。
純血晶の力はこの世界の未来も左右するっていう言葉。
器が3人居るのはちらっと聞いているから分かっているけど、本当にリウさんが言うように好きな人に渡すっていう感覚で済むんだろうか…。
リウさんがマリリスさんが言うように正しいことをしていないのは分かるし、その為に連れて来られたのならマリリスさんに純血晶を渡す。
そしてまだ会っていない、アルムっていう人にもだ。
この前手に入れた純血晶をマリリスさんに渡すと、私は世界のバランスに貢献する…のよね。
それで2つ目の神気スキルを覚える、と。
マリリスさんの場合は回復系のスキルなのね。
でも、改めてマリリスさんは私を見て、訝しむように魂について触れてくる。
どうしてそんな魂をしているのか。
私達にはそんなものは見えないし、自覚も出来ないけど特異体質…というか、特異魂らしい。

グルルバさんに聞いた話では死んでしまうごとに魂はすり減って最後には本当に死んでしまう。
魂が消えてしまうっていうことだったけど、私にはそれが無いらしい。
特異なものなんだ、と言われると改めて少し気が重くなる。
修学旅行で同じ飛行機に乗った友達も、知らない他の乗客も皆死んでしまったのに、私が生きていたのはそれが理由だった気がして。
この異世界ではそれは助けかもしれないけど、気味の悪い魔物と戦って返り血を浴びるような生活は本心で言えば有り難くなんかない。
訳の分からないモンスター使いのようなお爺さんに餌にされかけたり…。
肉の私に用はない、という言葉は私のこの魂を手に入れるための意味だったんだ。
帰れれば家族に会える可能性が有るだけ自分にとって良いことか、一人だけ生き残った後ろめたさを抱える不幸か。
私には答えは出せない。
リウさんみたいにストレートに良いこと、と捉えるほど楽観視してないし。
だから、キョウさんが私なんかにリウさんを頼む、なんて言うのかも。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ