剣の街の異邦人Winリプレイ・キリリ編

□2・リプレイ1-アルム
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『いざ、商会へ』
迷った末、私は商会へ向かうことにした。
ついでに、私がメデル商会の主従、アルムとレインさんに対して思っていることも皆に白状した。
「女狐はともかく、ショタイタチってのは…。
天那の口から出るとは思わなかったなぁ。」
ケンジさんは軽く笑いをこらえている程度だけど、エリちゃんはもっとツボにハマったらしくてとにかく笑いっぱなし。
アレクさんとマリンさん、ギンガーさんはショタをよく分かっていないみたいだけど。
皆当人たちの前では口や態度に出さない事を固く誓い合っている。
「でも、小型犬とフェレットを一緒に飼っていて飼い主が数日留守にしていた間に小型犬の方がフェレットに食い殺されたっていう話…、有りますから。
見た目は可愛くても、獰猛な肉食獣っていうことです。
最初の無茶な行動とか、見た目に寄らない振る舞いに関しては一応いい意味ですけどね。」
ただ、パフォーマンスにしてもあの行動に思わずあの当主様に男らしさ…むしろ漢字の漢でのオトコを感じた、とはケンジさんには言えないけど。
この前”青白い機械ヲタチビ当主”なんて言ってたし。
確かにそうかもしれないんだけど、そこはやっぱりケンジさんが体格恵まれてるのと、病気の成長期途中の子を比べるのもねぇ。
「外見がどうあれ、ユウちゃんって危険な香りがする相手が好きなのかしら?」
マリンさんが笑ってて、その傍らでケンジさんが渋い顔をしてる。
「う、うーん…。
ああいう雰囲気に憧れないと言えば嘘になりますけど…。
私、最初声変わりも仕切ってないし、あの顔立ちですし、そもそも神様の力を受ける人っていうので女性だと思ってた位ですからね。
機械から降りてきたのを見て初めて男性だっていうのに気づいて…。」
私にとって好みのタイプかは別として、同じ年頃の女の子があの当主様を知っていれば貧民街の女の子は皆こぞって気を惹きつけようとするんじゃないかな。
レインさんっていうお側付きが居なければ、だけど。
「あらあら、仏様もイエス様も男性よ。」
「後からそれを考えて偏見だと反省しました。」
マリンさんの指摘に、それは分かっていると言葉を返す。
「でもまた、どうしてあの青白チビ当主を。」
またしてもケンジさんが絡んでくる。
「良くも悪くもストレートでしたからね。
底が知れない事に変わりはないですけど、当主様自身の目的意識もそこそこ共感出来るので。
力が欲しいって言ってました。
そういう意味では今の私も一緒なんです。
魔物に攻撃をかわされるのなんてしばしば。
リウさんの能力は、最初の閃光退却が示すようにおそらく補助、マリリスさんであればおそらく癒しや守りに主点を置いた力だと思うんですよ。
…出来たら攻撃の助けになる力が欲しいので。
もっぱらそういうのは、ゲームでバルキリーの能力が男性の元に有るように男性の管轄だと思ったんです。」
ケンジさんはまだ微妙な表情で、溜息をついてきた。
「いやはや、よくそんな事がゲームで遊んでたとはいえスラスラと出てくるなぁ。」
呆れているのと、ようやくの納得とが混じってる。
「でも確かにそうだねぇ。
僕達のパーティはギンガーさん以外は力に欠ける。
その選択は間違いじゃないと僕も思うよ。
ねえ、マリン?」
アレクさんがマリンさんを見る。
「ええ。
まして敵の攻撃に晒される前衛にクラス柄とはいえ、華奢なユウちゃんが立っているんですもの。
そのユウちゃんの戦闘が楽になるようにするのも選択の方法の一つ。
正論だと思うわ。」
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