剣の街の異邦人Win体験版リプレイ・キリリ編

□1・始まり
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私は天那夕(あまな・ゆう)。
中学3年生、15歳。
今日は修学旅行で東京からの飛行機に乗り込んでいる。
荷物は殆ど持って入れないから、隣の座席の子と話をしていてもやがて退屈してきてしまう。
最近世間を賑わせている飛行機の行方不明事件、当の飛行機に乗っていてもいざニュースを放送しているテレビ画面の前を離れれば忘れてしまう。
そんなものだ。
そしてどこか遠くで起こっているもののように人は思ってしまう。
私だって、そうだ。
自分の身に降り掛かってくるまでは、人間は大変な事が起こっている事なのに、そうとは認識しない。

快適なフライト、窓際の席を取れた私は青空と眼下に広がる雲海をぼんやりと眺めていた。
でも、不意に違和感に襲われる。
目の前に有った青空が、白い雲が突然に暗転し、飛行機がミシミシと嫌な音を立てている。
「ゆ、ユウちゃん、これって…。」
隣に座っていた同級生の声に私もまさか、と思うばかり。
行方不明になった飛行機は見つからなくて、当然生きて戻った人は誰も居ない。
その先は誰も知らないんだ。
周囲はパニックになっているし、私も声が出ない。
フライトアテンダントさんの声だって誰も耳に入ってない。
私もここで死ぬ…。
そう思って、愕然とするだけだった。
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