二次創作小説WIZ

□迷宮と別れ3
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翌朝の待ち合わせ場所に例の鎧を着けたハートが居た。
やはり生まれながらの騎士、彼にはピッタリだった。
「本当、ダシルの言う通りこの鎧軽いんだよ。
何だか調子もいいみたいだしな。」
ジリアンとザイラメルの感心を他所に、今日から新たな区画の探索へと移っていく。
マロールで一気に階段へ向かい、新たな区画へと足を踏み入れた。
そこは迷宮のほぼ中央の区画。
扉をくぐると突然浮遊感に襲われ、見知らぬ場所に立っていた。
テレポーターである。
“ここより分かれる三つの道、選べる道はただ一つ。
その選択を誤るならばそなたらの冒険もそこで果てよう。”
その声が指し示す通り目の前には三つの扉が有る。
封鎖された区画でこれより選択肢が無いのだ。
左の部屋から踏み出すと、抜けた先は四方を囲まれた部屋で、目の前には扉が有る。
そこをくぐると扉に囲まれた部屋が続いていたが、入るなり濃密な殺気を感じ取ることが出来た。
「これって…。」
ジリアンが言うのに、キリーもだろうな、と肩を竦める。
こちらを囲んでいる扉の向こうに、今か今かと扉を開けるのを魔物たちが待ち構えているのだ。
彼らを召喚した主の命は相当に強いと見え、魔物が扉を破って現れることは無い。
ならば正攻法で一つずつ扉を開けて魔物と戦えばいい。
そうして扉を開けて待ち構えていたワーアメーバの群れを倒して抜けた先は始めの中央の区画。
どうやら、左の扉は外れらしかった。
だが、またあのテレポーターの部屋に入ればあの場所に行けることは分かっている。
消費した呪文の回復の為、一度街へ戻り、再び降りてきた。
襲い来る魔物の強さも種類もほぼ一階と変わりない。
だが、どうしてもダシルには苦手な魔物が居た。
厳密には魔物ではなく元々人間だったもの、命を失った死体が再び動き出したアンデッドである。
こんなものが好きなものは誰も居ないだろうが、ダシルはその魔物が近くに居ると分かっただけで鳥肌が立ち、胃の調子が狂ってしまう。
「またですの?」
ザイラメルがダシルの背中をさする。
「そう言われても駄目なんだよ…。
こう狭いところだと…。
ウプッ…。」
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