剣の街の異邦人Winリプレイ・キリリ編

□4・リプレイ3-リウ
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夕がやっているのは新体操。
いわゆる芸術種目なんて呼ばれて、選手たちは妖精なんていうふうにも言われるが、見た目に反して過酷な競技だ。
体が痩せていても、高い柔軟性に、心肺機能、筋力が要求される鉄人種目ではある。
なので外見より頑強とは言えるだろうが、周囲から無茶振りをされることにつりあう風情ではない。
「まあな。
色々と有っても確かに俺ら配慮されねぇよな。
それが有るとしても、恵理はしっかり戦ってるだろ?
前は大物仕留めまくってるし。
俺は出来たらアンナに訓練付けたいんだよな。」
「でも、扱いはアンナの方が上だしさ。
…選ばれし者以外の魂は、ううん。
異邦人の魂はエスカリオの器の者にとってどれだけ安いものか、アンタだって解ってるでしょ。」
恵理に鋭い目を向けられて現実を思い出す。
「ああ。
そうだったな。
たとえそれがあいつらにとって利益をもたらす選ばれし者であっても…な。
いずれ、二度の道の果てまで行ったんだから、今回はここを中心に動くのは間違いない。
王宮と商会がどう動くかは分からないが、俺達はこの世界の人間じゃない。
奴らの利益の為に動くことはもう、無いんだよな。」
恵理も頷く。
「夕ちゃんに会いたがっている子が居る。
夕ちゃんだって会いたいんだから、今度こそ…それが叶って欲しいよ。」
この世界の奇妙な因縁がいつまで俺たちを捕らえているのか。
終わりが来る日まで俺たちは戦うしか無い。
不意に、ギルドの中が騒がしくなる。
キョウの奴が騒いでるんだ。
異邦人ギルドの副団長、リウが突然居なくなった。
それは同時に俺たちが待っていた存在の帰還をも意味する。
夕が改めて居住区にやって来たのを見て俺達は視線を交わす。
もう何も言わなくとも、分かっている。
それくらいの付き合いのつもりだ。
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