秒針は止まらない
□山茶花
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鈴本「おいしいこれ。何入れたの?」
『それ?えっとねぇ、』
レッスンから帰ってきてすぐに佑莉が作ってくれたご飯を食べながら話をする。
佑莉はお母さんでもお姉ちゃんでもない。
けどずっと前から仲良しでこっちに来てからは一緒に暮らしてる家族みたいな存在。
レッスン終わりにはご飯を作って待っててくれるし休みの日にはお出掛けしたりする。
ふーちゃんやだにーと面白い事をしたら絶対に話したいし、メンバーに言いづらいことでも佑莉になら話せる気がする。
鈴本「そうだ。来週から全国ツアーのリハが入るから少し帰りが遅くなるの。」
『そうなの?まだ発表されてないじゃん』
鈴本「早めにするの。去年もそんな感じだったじゃん。」
『あれ、そうだったっけ』
鈴本「全くー。そういうことだから先に寝てていいよ。」
『いいよ。どうせ美愉とじゃないと寝れないし。』
鈴本「そう?無理しないでね。」
『美愉いないで寝る方が無理でーす。』
〜〜〜〜
鈴本「なんで...」
先週から始まった全国ツアーのリハーサル。
今日は自主練だけどみんなも来て練習してる。
まだ舞台には立ってないけど、立てるほどダンスが完成してない。
いつもならすぐに踊れそうな振り付け。
頭では理解してるけど何故か体が追いつかない。
齋藤「一回休憩したら?」
菅井「そうだよ。はいお水。」
鈴本「ありがと。でもみんなに迷惑かけたくないし、お昼までだからもうちょっとだけやるね。」
ゆっかーから水だけもらって練習を再開する。
鈴本「ただいま。」
『おかえりー。お昼ご飯はおそうめんだよー。』
鈴本「そう...」
『今日はどうだった?』
鈴本「別に。いつも通りだったよ。」
疲れてるのかな。
楽しそうに話しかけてくる佑莉にもちょっと冷たく当たってしまう。
いつもなら楽しい佑莉との会話もあまり楽しくない。
自分でもイライラが募ってるのがわかる。
今日のレッスンが上手く出来なかったからかな。
申し訳ないけど佑莉は気にしてなさそうだからまた後で謝ろう。