頭文字D
□Trick or Treat
1ページ/1ページ
Trick or Treat
『涼介さん!!
とりっく おあ とりーと!!』
「…まろん?急にどうしたんだ?」
『涼介さん、今日はハロウィンです
お菓子ください!!』
ハロウィン当日
ちょうど休日ともあって高橋家にお邪魔していた。
涼介さんは何気にこういう行事ごとには疎い
もしお菓子がなくても“いたずら”として
あわよくば高級なゴ●ィバのチョコなんかを頂こうかと期待して
涼介さんにおねだりしてみた
『涼介さん?お菓子あるんですか?
無ければいたずらですよ?』
「その前に、まろん?
その格好はなんだ?」
『なにって、セーラー服ですよ?
ハロウィンって言ったら仮装じゃないですか、啓介さんに聞いたら“お前は童顔だからこれ着てみろ”って言ってました』
「………」
なにやら涼介さんは黙りこくってしまいました
不安になって涼介さんに近づくと急に腕を掴まれ
椅子に腰かけている涼介さんの膝の上に乗せられた
「まろん、生憎お菓子はないんだ」
『じゃあ、いたずらですね!!
いたずらとして…ゴ●ィバのチョコ買ってください』
「そんなもので良いのか?」
『はい!!チョコが食べたいです』
涼介さんは次の休みに買いに行こうと言ってくれた
私は嬉しくなってすぐにケータイで次に会える日を確認してみる
だから気が付かなかった
涼介さんが黒い笑みを浮かべていることに…
「俺からもTrick or Treatだ」
『……あ!!
私、仮装に夢中でお菓子用意してませんでした』
「俺は甘いものは苦手だからな…
お菓子はいらない。その代り…」
『……?』
涼介さんは一度言葉を区切ると
私の耳元に顔を寄せ耳に舌を這わせる
そして、ふっと息を吹きかけながら囁いた
「お菓子はいらないから、お前が欲しい」
.