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□お近づき?
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旧校舎の事件が終わり、一週間ほどたったある日。
瑠雨はナルとリンに向き合っていた。
『ちゃんとお話しをさせてください…』
リンには相変わらず無視をされたり、そっけない態度ばかりとられていた。
私生活でもアルバイト先でも一緒なので瑠雨にとってはどうにか改善されてほしいことだったので
『リンさんに自分を知ってもらおう』
の会が発足されたのである。
メンバーは瑠雨、ひとり。
立会人はナル。
そして会の主役、リン。
お茶を用意して、リンの前に座る。
『改めてまして、笹川瑠雨といいます。
血液型はAB型。
出身は埼玉県です。
今は高校生くらいらしいんですが、私がこの世界に来る前のところでは、30歳でした。
両親は亡くなっていて、高校までは親戚の家で育ちましたが、仲良くはしてもらえず、高校を卒業してすぐに東京に出て一人暮らしをしていました…
えっと…犬を飼って、犬と暮らしていました。
薬以外は一通りやりたいこともやっていて、お酒、たばこ、ギャンブル、結婚、離婚…』
と話していると
「結婚して離婚していたのか?」
とナルに驚かれる。
『あー、うん。ちょっとね、暴力だったりなんだったりで…でも子どもはいないよ?あはは…』
と瑠雨は苦笑いをする。
ナルは溜息をつき
「続けて」と一言。
『えー……
ナルとリンさんのことは前の世界の時から知っていて、この世界に来た時には少し先のことまでわかっていました。
でも最近、その記憶がどんどんなくなっていってます…』
『心霊関係は興味はありますが、能力的なものは何もないと思います…』
ここまで話してもリンは何にも反応してくれない。
心が折れそうになる…
『あの…少しくらい何か言ってくれても…』
と言うと、リンはこちらを睨む。
「私は日本人は嫌いです」
『…それは歴史的な意味でですか?』
「そうです。日本人が中国になにをしたかわかっていますか?」
と怒りを全面にぶつけられる。
しかし瑠雨には素朴な疑問があった。
『…リンさんは私のことは嫌いですか?』
「はい?」
『私は今の日本人です。
絶対に歴史は忘れちゃいけないと思います。忘れると人間はまた同じことをしてしまうから。
でも、私は今を生きています。
私、リンさんのこと好きですよ?
だから私を知ってもらいたい。だから普段から話がしたい。リンさんのことが知りたい。
リンさんが私を知って嫌いになるならわかります。私、一個人を。
でも日本人っていうくくりで嫌いって言うのはやめてください』
一気にそう言い、大きく深呼吸をする。
ナルはずっと遠くを見ていたが、話終わった瑠雨を見た後に、リンを見る。
「リン」
そうナルが呼ぶと、リンは控えめであるが笑いはじめた。
「そうですね。
私も今の中国人です…。
私はあなたのこと、まだよく知らなかったようですね。
今の所ですが…
私はあなたのことは嫌いではないようです」
と穏やかに話し始めた。
その笑顔に瑠雨は見惚れてしまう。
そんな自分を隠すように
『それなら、それなら、もっと私を知ってもらえるように頑張ります!!
だから、これからもこんな私ですが、宜しくお願いします!!』
立ち上がり、頭をさげる。
「よろしくお願いしますね、瑠雨」
名前で呼ばれ、心臓が大きく飛び跳ねる。
『今…名前……』
「嫌でしたか??」
と言われ
『嫌じゃない!
じゃあ、私も名字じゃなくて名前で呼びたいです!!
えっと…えっと…
コウ!!!ちゃん…』
自分で言って照れてしまう。
火照った顔を落ち着かせ、リンを見ると、瑠雨にも負けないほど顔は赤くなっていた。
恥ずかしいのと、みんなにはまだ本名は知られていないということで、みんなの前では
リン
と呼ぶことになりました。
「ちなみにだが…
なぜ僕のことは所長と呼ぶ?名前でいいんだが」
と軽くヤキモチを妬いたようなので、ナルと呼ぶことになったのだった。