main

□明日はテストと…?!
1ページ/4ページ

明日は実力テスト。
丸々1日テストの日。


「あーー。もう勉強したくなーーい」

「がんばらないと、ちゃんとした大人になれないぞ?」
とぼーさんに励まされながらテスト勉強をする麻衣。



瑠雨もジョンと安原に教わりながら、苦手な英語を頑張っている。


真砂子もいて一緒に勉強をしている。
真砂子も高校生で同い年なので、勉強している範囲は一緒だった。





「ねーねー、そういえば瑠雨の誕生日っていつ??」





唐突に麻衣がそんなことを聞く。



「確かにそうねぇ」

「お、おじさんも気になる!いついつ?」

「そうですわね、お聞きしたことありませんでしたわ」

「さいですー」

「僕も気になりますね」



何も言わないが、めずらしく所長室と資料室ではなく、みんなと一緒の場にいるナルもリンも静かに聞いている。



『…覚えてない…』


「えー?!本当にそこは記憶喪失なの?!大丈夫?本当はやっぱり病院とか行くべきだったんじゃないの?!」


と麻衣はナルに詰めはじめる。


『あ、違うの!!!
えっと…忘れちゃった…??とか?』




少し瑠雨を見つめた後
「……で?瑠雨本当は??」

嘘だとすぐに見破ったぼーさんに突っ込まれる。


「忘れたって嘘だったんかい!
ででで?いついつー?」


『勉強の続きしようよ…』
とごまかそうとするが、みんなに詰め寄られる。



瑠雨は溜息をつき、勘弁したように本当のことを白状する。



『………明日』


「「「「「「…え?」」」」」」

『誕生日…明日なの…
2月2日……』



ええええーーーーーーーーー!?!?!


みんなの叫びがこだました。










「なんでもっとはやく言わないのー?!」

「明日はお祝いだな!バンドの練習終わったら、すぐこっち来るわ!」

「急だけど、明日なにか作ってきてあげるわ!何が食べたいの?」

「飾りつけせんとですね〜」

「良かったですわ。明日は夕方からなら空いていますわ」

「僕は朝からでも空いていますけどね」



とそれぞれが明日について話している。

どうやら事務所の所長に聞かずとも、明日はここでパーティーが行われるらしい。



ナルは静かに明日の予定を確認しはじめる。


リンはいきなりの事実に固まっていた。









勉強を終わらせ、夕食の買い物をして部屋に戻る。夕食の準備しながら溜息がもれる。



『はぁ…』


本当は誕生日なんて言う気はなかった。


お祝いをしてほしくない訳はない。

言ったらきっとみんなお祝いをしたがる。

そして案の定、みんなわざわざ予定を調整してくれている。


瑠雨は申し訳なさでいっぱいになって、本日何度目かの溜息をついた。




「なんで溜息をついてるんだ?」


急ナルに声をかけられて、驚く。

『うわ!びっくりした…帰ってるなら言ってよ…』


「どうして溜息をついている?そんなに明日が嫌なのか?」



ナルには、瑠雨が

みんながお祝いをしてくれる

となってから浮かない顔をしているのがわかっていた。



『違うよ!そんなわけないじゃない!』

「…」

『だって…
みんなに気を遣わせてしまうでしょ??』

『みんな予定をわざわざ開けてくれたり、そんなことしなくてもいいのに。

ただおめでとうって言ってもらえるだけで嬉しいのに…迷惑なんてかけたくないのに…』


と言う瑠雨に、ナルは大きな溜息をつき

「バカだな」
と一言。


『な…バカって…』

反論しようとする前に




「みんな、それだけ瑠雨のことが好きなんだろう?」

『え…?』


「みんな瑠雨の喜ぶ顔が見たいんだ。だから。
迷惑なんて思わなくていいと思うが」


とナル。
ナルからそんな言葉を言われるとは思ってもみなかった。


それにその言葉が素直にとても嬉しかった。





みんな私が好き…



そうだ。そんな簡単なことを忘れていた。




『ナル。ありがとう!』





私がみんなのことを好きなように

私がみんなのためになら、なんでも出来るように




みんなも私のことを少しかもしれないけど好きでいてくれてる。





(まさかナルに言われるとはなー…)





と失礼なことを考えていた。笑






その日、夕食の時にリンは帰ってきていなかった。


『ナルー。
コウは??お料理冷めちゃう…』



「そのうち帰ってくるだろ」


リンの顔を見れず寂しそうな瑠雨


『…そうだよね。
あ!私明日実力テストだから、今日はやく寝て、明日はやく学校行って、麻衣とかと勉強するね!
だから明日は申し訳ないんだけど、朝と昼は自分たちで用意して食べてくれる?
ごめんね』

「しっかり勉強して結果残してくれればいい。保護者代理はリンなんだ」





『………ハイ…ガンバリマス……』









その日の22時くらいに帰宅したリン。


瑠雨が既に寝ていると知り落ち込んでいた。



「夕飯とってあるぞ」
とナルが顎で冷蔵庫を指すと、リンはゆっくり冷蔵庫へ。


『コウちゃん!
お仕事とか色々お疲れさまです。ちゃんと食べて、元気いっぱいになってね!
瑠雨』

というメモと美味しそうなご飯が入っている。


リンはそれを見てあたたかい気持ちになる。

そして、明日は1番におめでとうを言おうと決めたのであった。
次へ
前の章へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ