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□サイレント・クリスマス
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東條さんにそのことを伝え、すぐに足場が組まれる。




瑠雨は憑依されていたため疲れてしまったようで寝続ける。



その間他のメンバーはケンジくんの話をしている。


当時は工事中で足場があったこと。

人間はそもそも高い場所のことは眼中になく、仰向かないと視野に入らない場所というのは意外に見ていないものであること。



高いところに隠れるのはケンジくんのスタイルで、ケンジくんは高い場所が鬼の盲点になることを知っていたであろうこと。


ホイッスルは裏の小屋のそばに落ちてはいたが、囲いに登り、小屋に登ることも出来たこと。
その時にホイッスルを落として気付かず、そのままあの場所に隠れてしまったであろうこと。




ほかの子が呼んでも出てこなかったのは隠れ場所を見つけられたくなかったから。
そしてみんながいなくなるのを待っているうちに足場が倒れてしまったであろうこと。




「いずれにしろ、あの場所では12月の雨は避けられなかったろう…」










瑠雨は夢を見ていた。





空から教会を見下ろしている夢。





雨が降っている。その時工事の足場が崩れてしまう…





像の陰に男の子がいる…きっとあれはケンジくん…






瑠雨の中に言葉が入ってきた。








…どうしよう。神父さんたちいっちゃうよ…





ぼく、ここにいるのに…












どうして誰も見つけてくれないの?






ここにいるのに














寒いよ













…おとうさん…












おとうさんなら




きっと見つけてくれるよね




その言葉が聞こえ、ケンジくんは涙を流しながら笑顔を見せた…
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