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□お近づき?
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その日からリンとも普通に話せるようになった。
しかし夜になると今度は他の悩みが。
うなされるのである。
旧校舎の事件中には
「入院してるんだからリンの部屋のベッドを使ったらどうだ」
とナルには言われていた。
ナルたちがいるスイートルームはツインベッドのある部屋が2部屋ある。
その片方をナルが、もう片方をリンが使っていた。
ナルの部屋は資料だらけなのもあり、リンの部屋をすすめられていた。
しかしリンがいるいない関係なく、はじめから瑠雨は遠慮しており、最初にもらったお金で、ベッドパットと、タオルケット、枕と抱き枕を買い、ソファで寝ていたのだった。
こっちの世界に来てから、毎日のように夢を見てうなされる。
(ベッドで寝て、毎日コウちゃんを起こすわけにはいかないもんね)
うなされると言っても、心霊の夢ではない。
両親の夢。
『今日も…夢見るのかな…』
明日のことを考えるともう寝ないといけない。仕方なくソファに横になる。
最近寝不足続きなのもあり、瑠雨はすぐに夢の中へ落ちていく。
リンは喉が渇き、冷蔵庫へ向かう。
その時ソファから小さいが声が聞こえる。
『ごめん…なさい…』
「?」
見に行くと瑠雨が涙をこぼして何かを謝っている。
しかし起きているわけではなさそうだ。
「毎日こうなんだ」
いつからいたのか、ナルが目の前に立っていた。
「ナル…」
「ここに来た日からそうなんだ。
サイコメトリもしようとしたが、真っ暗で何も見えなかった」
とリンにそれだけ話すと自分の部屋に戻っていく。
知らなかった。
まさか夜中に泣いているとは。
リンは心配そうに瑠雨の髪の毛を指にとり、耳にかけてあげる。
「瑠雨」
そう名前を呼ぶと、心なしか少し顔色が良くなったような気がする。
しかしすぐにまた悲しそうな表情に戻ってしまう。
リンは瑠雨を起こすことにした。
「瑠雨?瑠雨」
瑠雨は目をあけると、目の前にいるリンに抱きつく。
急なことに驚くリンだったが、さっきまでの瑠雨の状況を知っているので、そのまま優しく抱きしめてあげていた。
少しして我にかえると、気まずそうにリンから離れる。
『あー、えっと…
お見苦しいところをお見せして…
ご迷惑をおかけしまして…』
そう言う瑠雨に
「大丈夫ですよ。ちょっと待っていてくださいね」
と言い、ホットミルクを作って瑠雨に渡した。
ホットミルクと、リンのあたたかさに触れ、落ち着きを完全にとりもどした。
「夜になるとなにがあるんですか?」
そう聞くリンに、瑠雨はぽつりぽつりと話をはじめた。