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□禁じられた遊び
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ぼくは犬じゃない












「すいません、遅くなりましたー!」

と勢いよく事務所に入ってきたのは麻衣。

ナルにすぐに
「遅い。お茶!」
と言われて文句を言っている。


『お茶なら私がいれるから、麻衣はゆっくり準備してて大丈夫だよ』
と言いながら瑠雨はお茶をいれる。


今日麻衣だけ来るのが遅かったのは、居残りでレポートを提出していたから。
瑠雨はきちんと出していたので、居残りはなかったわけである。




机の上の名刺を見て、麻衣が呟く。


「…そういえば、今日の朝刊にも出てたね、緑陵高校の事件」

今緑陵高校はちょっとした話題のまと。学校中で怪事件が起こり続けているらしい。

始まりは、新聞に載った集団不登校の記事。その理由が「教室に幽霊が出るから」
その後も次々と妙な事件が起こっていて、ほとんど毎日新聞やテレビに出ている。


「えーと…集団ヒステリーか?また高校で怪事件…授業中犬に噛まれたって生徒たちが騒ぎ出したんだって」

『先生は犬なんか見てなかったって言ってるけど、ケガ人が出たんでしょ?』

「なんで依頼断っちゃったの?調査してあげればいいのに」

それを聞いてナルは
「マスコミ沙汰になるような事件は避けたい」

「えー、なんでー。
有名になれるかもしれないじゃん!
そしたら依頼もドカドカさー」
と麻衣が言っている途中で、事務所のドアが開く。


「あのー…」
『はい、ご依頼ですか?』

麻衣はその前にしてた会話が会話なだけに焦っていたので、瑠雨が対応。

「緑陵高校の生徒会長をしています。
安原修といいます」

今ちょうど話していた高校の生徒会長が依頼にきたのだった。



お茶を出し、ナルと麻衣と瑠雨は安原さんの話を聞く。


「これは生徒たちの署名です。

校長からの依頼が断られたと聞いて、もう一度お願いできないかと集めたものです。

どうか調査をしていただけませんか?」


安原さんはそう言うが、ナルの表情はかわらない。


「…今、学校はひどい状態です。


最初はありがちな怪談がいくつかあっただけでした。
それが今では毎日変なことが起こっています。

みんな不安で心細い思いをしているんです…」

そう聞くとナルは
「…正直いって、緑陵高校の事件には興味を持っています。
しかし僕はマスコミと関わるような事件は…」

「お気持ちはわかります!
僕たちも毎日おしかける取材に迷惑していますから、だからこそ、いっそうはやく事件が解決されることを願っているんです。


どうかお願いします!」
そう言い頭をさげる安原さん。


それを見てナルは溜息をつき

「瑠雨、緑陵高校に電話してくれ。
依頼をお引き受けしますと」



ナルは粘り負けなのか、安原さんの熱意が伝わったのか、そう言った。




こうして、緑陵高校の事件が幕をあける。
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