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□サイレント・クリスマス
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時間になり、みんなと別れて帰路につく。


家に着くと、瑠雨はナルとリンに用意していたプレゼントを渡す。





『ナル!コウ!メリークリスマス!』




ナルには皮の手袋。






リンにはマフラーを買っていた。





『ふたりのこと考えて選んでみたんだ。良かったら使ってね』


と少し照れながら言っていると



ナルからは
「…ありがとう」
の言葉とその後
「悪いんだが、僕は用意をしていない…」
と少し申し訳なさそうに言っている。




『ううん!私が勝手に用意しただけだから気にしないで!』

と瑠雨が話すと少し考え
「…そしたら今度ご飯にでも行こう」

とナルが言ったのを見て、嬉しそうに笑う瑠雨。





一方リンは「ありがとう」と言うが、ナルの発言に動揺していた。


(ナルは瑠雨がいて、少し変わってきたのかもしれませんね…)






その後、みんなそれぞれ部屋に戻っていたが、リンは瑠雨を誘い、少し外に出ることにした。






「雪がふってるのにすみません」


『大丈夫だよ!私雪好きなんだー!』


と話しながら少し歩く。

リンの首には先程瑠雨があげたマフラーが巻かれている。





『それつけてくれたんだね。嬉しい…

やっぱり似合うね!私の目に狂いはなかった!』

と笑顔で話す瑠雨。


今日1日色々なことがあった。


中身はケンジくんであったが、くっつかれてはじめはドキドキした。
しかし、くっつかれるよりも本当の瑠雨であれば隣にいるだけでドキドキが止まらなかった。






公園で少しずつ降り積もりはじめる雪を見ていると、リンが話しはじめる。



「プレゼントありがとう…すごく暖かいです」


と言うと


『えへへ。
どういたしまして』

と言われる。





少し沈黙があった後


「目をつぶってくれませんか?」



いきなり言われるが瑠雨はリンへの安心感もあり、すぐに目をつぶる。





すると瑠雨の首に冷たい感覚。



「目をあけていいですよ」


そう言われ目をあけると








首にはハートモチーフのネックレス。







『…かわいい…』




それを聞いてホッとするリン。




『え?え?これ…?』



状況が読み込めていない瑠雨に


「私からのクリスマスプレゼントです」

リンがめずらしく笑顔で話すと、瑠雨はリンの顔を見つめた後



『…ありがとう…』
とネックレスを握りしめて言った。








(リンの笑顔に目を奪われていたなんて恥ずかしくて絶対誰にも言えない…
あんな笑顔反則だよーーーーー)










そう瑠雨がいて一番変わったのは、リンなのであった。



「帰りましょうか。お付き合いありがとう」


少しずつだが、敬語じゃない部分も出てきているリン。





そんな少しの変化が嬉しい。






『うん!!』



そう言い公園を後にするふたり。












手を繋ぐわけでもなく、離れすぎる距離でもない。





居心地がいい。そんな距離のふたり。


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