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□明日はテストと…?!
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家に帰ると、テーブルの上の花瓶に薔薇の花束が飾ってある。





『……なにこれ…薔薇…16本だ…』
と呟くと、後ろで



「お誕生日おめでとう」

とナルの声。



ないと言っていたのに、準備をしてくれていたナル。




『ずるいよ!』

泣きそうになりながらそう言うと、ナルは不敵な笑みをうかべ

「おやすみ」と言い自分の部屋に入っていった。







リビングには瑠雨とリンのふたりきり。





『コウ…



あのね…



私、今日本当に幸せ!!コウもありがとう。

いつもいつも相談のってくれて。
産まれてこなければ良かったなんて言わないでほしいって言ってくれて。
私、産まれてきて良かった!みんなに会えて良かった!』


まぶしすぎる笑顔。
屈折のない笑顔ってこういうことを言うんだろうなとリンは思っていた。




『荷物置いてくるね!紅茶入れて、ジョンからもらったマカロンでも食べない?』

と部屋に入っていく瑠雨。




リンも部屋に入り、心を決めて、まだ荷物を片付けているであろう瑠雨の部屋の扉を叩いた。


「瑠雨、ちょっといいですか?」


『はーい!どうぞ!』


瑠雨はぬいぐるみをベッドに寝転がらせたり、新しいお財布にお金やカードなどを移し替えていた。




なにか言いたいことがあるから来たであろうリンは、特に何も言わず瑠雨の行動を見ている。



『…コウ?どうしたの…?』


急に目の前に瑠雨の顔が現れ、我にかえるリン。


「あ、あ、あ、あの…」

こんなにリンが動揺するところは見たことがない。




『本当にどうしたの?どっか体調悪い??』


とおでこに手をのばそうとする瑠雨の手を止め、そのまま両手を握る。



『?』

首をかしげる瑠雨に愛おしさを感じながらリンは話はじめる。






「改めて…

お誕生日おめでとうございます」



『ありがとうございます!』



そう言って笑い合うふたり。


「本当は私が1番に瑠雨に言いたかったんですけどね」




と言うリンに瑠雨は静かに微笑み、何も言わず話の続きを聞く。





「プレゼントも…本当は用意してあるんです。でもみなさんのいる前では渡したくなかった」




「こうやってふたりの時に渡したかったんです」


そう言って、ポケットから小さなケースを出した。



そしてケースを開けると、中には指輪。


『もしかしてこれ…』


「ピンキーリングです。ほしがっていたでしょう?」



以前事務所で麻衣とピンキーリングが欲しいと話していたことを思い出した。




そんな事まで覚えてくれていた。



リンは瑠雨の右の小指にはめてくれる。


いつの間にか瑠雨は涙を流していた。



「お誕生日、おめでとうございます」
と瑠雨の頭を優しく撫でる。






『コウ…ありがとう…ありがとう。

大好き!


みんなみんな大好きー!!』


リンは自分に抱きついてきた瑠雨を大切に受け止め






(左手の薬指に別の指輪が入るかもしれないですからね。今は小指で我慢してください)



ということを考えていた。


「ちゃんと渡せてよかったです」















後日

事務所
瑠雨の右手にピンキーリングがあることに気づいたメンバー。

ナルがあげたのか、リンがあげたのか、はたまた別の男がいるのか言い合いになっていた。

ナルは不機嫌そうに、リンは毎日つけてくれていることに内心うきうきで仕事をしている。

ぼーさんはそんな、うきうきしているリンを見て、
一緒に住んでるってずるいよなー。
と考えるのだった。






ちなみに…

試験は全教科赤点は間逃れたふたり。
麻衣は全教科ぎりぎりパス。
(あぶねー、補修になったらバイト行けなくなるところだった…)


瑠雨は英語以外は95点以上とれていた。英語も半分以上はとれた。


(これでナルとリンには怒られない…よかった…)

お互いほっとして、仲良くバイトに向かうのであった。


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