名簿

□かいものくん
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高田は両手に多くのショッピングバッグを抱えガサガサと音を立てて歩いていた。

「ごめんなさい。持ちます。」

「これくらい頼ってよ。俺が駄目な男と思われるよ?」

「そういうものなんですか。」

「そういうもの。」

入谷は高田の一歩後ろをついて歩いた。会話はしても目線は合わない。高田はふと止まり入谷の方を振り返った。

「俺歩くの早い?」

入谷は、高田が何を言ってるのか分からなかった。

「そんな後ろ歩かれてたら、いるかいないか分からないよ。」

「あ、すみません。」

そういうことか、と入谷は納得した。

「こういう買い物初めて?もしかして苦手なだけ?」

「初めてです。初めてですし、苦手かもしれません。」

入谷は情けなく笑った。高田も同じように笑い、俺も、と応えた。入谷が1歩前に出て、今度は2人同時に歩き出す。
その時高田が持つ携帯が音を立てた。入谷も気付き、手の塞がった状態の高田を気遣い、半分荷物を持つと、高田は空いた手で携帯を耳にあてた。

「はい。」

何となくではあるが丑嶋の声が聞こえる。話の内容までは分からなかった。数分にも満たず話終えると高田は携帯をポケットに直し入谷に声をかけた。

「荷物ごめんね。」

「いえ、私のですもん。」

その言葉を聞いて高田は笑った。

「そうだね。君のだ。」

入谷は自分の言葉の意味に気が付き、私の、と小さく繰り返した。

「社長からみんなでご飯に行こうだって。車で迎えに来てくれるようだからもう少し歩こう。」


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