名簿
□新入社員くん
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「見かけによらずやるじゃねえか。」
入谷と三木が出ていった直後に丑嶋は呟いた。
「だから、言ったでしょう!さっき背中叩いた時、こうずっしりというか…体幹がこうしっかり…」
「会ったばっかりの女性の背中叩いたんですか?」
入谷の体をどうにか表現しようとしている柄崎に高田があきれた声で言った。
「あン!?なんだ高田ァ!」
「そんな事より、柄崎。あいつどう思う。」
丑嶋は高田に凄む柄崎の怒声を阻む。
「まだこれからですけど、素質はあると思います。」
先ほどとは打って変わり真面目な声色だった。
付け加えて、高田よりキレがある、と言ったのに対し高田が反論した。
「高田。あいつからなにか聞けたか。」
丑嶋は続いて高田に問うた。高田は言いにくそうに、経験はあるらしいです、と答えた。
「前科は。」
「そこまでは……。」
高田の目が泳いだ。
丑嶋は黙ったままだ。
「まあいい。そこまで聞けたならなんでも話すだろ。ここだけをあいつの居場所にすればいい。人間簡単に自分の唯一の居場所捨てらんねぇよ。」