名簿

□新入社員くん
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「わわわ分かったよぉっ!!2万5000円なら何とかするからぁっ!」

債務者はぼたぼたと涙をこぼしながら答えた。

「今日中に?どうするの?」

「こっ、コンビニのATMなら2万5000円くらい……。」

「なんだてめー、金あるんじゃねぇか!!」

今までソファに腰掛けていた柄崎が立ち上がり債務者を怒鳴りつけた。
債務者は膝を擦り巨大な体を入谷の小さな影に収めようとする。

「入谷。お前その債務者について行け。すぐに金持って帰ってこい。」

「わかりました。行こう、三木さん。」

汗か涙かわからないぐしゃぐしゃに濡れた顔を歪めながらフラフラと債務者が立ち上がった。入谷は肩の上に置いていた手をぐっと握りしめて、三木を引っ張っている。

そのまま入谷は三木と最寄りのコンビニへ向かい、モタモタ預金を下ろす三木をしっかり見つめていた。

丑嶋のすぐに帰ってこい、という言葉を頭の中で反芻しながら。
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