短編

□クリスマス企画
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「あ〜・・・ついにこの日がやってきてしまったよ〜・・・」

教室の机に突っ伏して唸っている名無しを呆れたように見下ろす杏。

「あんたねぇ、あんなに前からクリスマスには告白して彼女になってやるって意気込んで色々準備してきたじゃない。今さら何をそんなに気にするのよ?」

そう、今日は12月24日のクリスマスイブ。
去年共に怪盗団として活動し、地元へと帰ったジョーカーこと蓮がクリスマスパーティーに参加するために東京へ泊まりがけで来ることになっているのだ。

お互い受験で忙しい身だが、彼は東京の大学へと進学するとのことで、色々と下見を兼ねるからちょうどいいとのことで参加してくれることとなった。

このパーティーを企画してくれたのが、4月に大学生となった真と、春である。
元来勉強嫌いな竜司はもちろんだが、祐介もいい息抜きになるといって参加を希望した。
双葉も少しずつではあるが人見知りの克服に励んでいるようで、気心の知れた仲間だしと喜んで参加してくれることになった。

「モルガナも一緒に来るみたいだけど、元気にしてるかな?」

杏がぽつりとそんなことを呟き、名無しは当時杏に惚れ込んでいた猫を思い浮かべた。

端から見れば変な光景ではあるが、名無しは蓮を、モルガナは杏を好きなこともあって密かに恋愛相談などもしたものだ。

「あのモルガナだよ?元気に決まってるじゃん。」

笑いながら名無しが言うと、杏もそりゃそっかと笑った。

「確かに緊張もするんだけどさ、なんだかんだ全員そろって集まることが一番楽しみなんだよね。」

「そうだね。特に蓮とはチャットのやりとりのみだし。」

「・・・ねぇ、杏。」

「なに?」

「蓮がいなくなって、たまに塞ぎ混むこともあったけど、そんなときもいつも励まして側にいてくれてありがとうね。」

「ちょっ、急にどうしたの?」

「いやさ、蓮に告白した結果がどうであれ、杏にはほんとにお世話になってばっかりだったからね。きちんとありがとうって言っておきたくてさ。」

「名無し・・・。たとえどんな結果になろうともちゃんと報告してよね!アタシはいつだって名無しの親友なんだから、何があっても話聞くからさ。」

「杏・・・、ありがとう。」
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