長編

□親友と呼び名
1ページ/6ページ

球技大会が終わった翌々日、その事件は起こってしまった。

「おい、あれまずいんじゃねぇ・・・?」

授業中、廊下側の席に座っていた一人の男子生徒の声が教室に響いた。

その声を皮切りに生徒達はぞろぞろと廊下へ出て窓から外を見る。

教師の教室に戻れという声などお構いなしに杏と名無しも廊下へ出る。

「志帆・・・?」

杏の声を聞き、名無しも屋上の上に立つ人物を見るとそこにいるのは間違いなく杏の親友である鈴井志帆だった。

「!!杏ちゃん!急いで止めに行こう!!」

名無しが杏の腕を掴んで屋上へ向かおうと言ったそのとき

「っ!!」

志帆の体がゆっくりと前のめりになり、重力に逆らうことなく地面へ落下した。

「志帆っ!!」

杏と名無しは急いで落下したであろう中庭へ向けて全力で校内を駆けて行った。
次へ
前の章へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ