長編

□放課後 その後
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名無しと別れ、学校を後にした蓮は電車に揺られながら今日のことを考えていた。

(あの変な城は一体なんだったのだろう…。それに、鴨志田という教師が異様な姿で居たこと、校内で重なって見えた城の景色…。)

吊革に掴まりながらぼんやりと今日の遅刻の原因のことを考えても、一向に答えは見つからなかった。

一旦、他のことを考えようと思考回路を切り替えたときに、ふとクラスメイトのことが頭をよぎった。

名無し名無し、朝に親切に道を教えてくれたのみならず、放課後に自分の忘れものを届けてくれた彼女―…

学校に入るなり、小声のつもりだろうが明らかに聞こえてきた自分への怯えや軽蔑の感情。

竜司を除けばただ一人、普通に接してくれた生徒だった。

―…四茶へ着いた蓮はルブランへと歩いていく。

その顔はこれから惣治郎に怒られるであろうにも関わらず、どこか嬉しそうだった。
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