お話

□*さぼり
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ナヨンside






もうすぐであいつが来る




5...4...3...2...1...




ガラガラッ、






「おんにおはよう!」






はあはあと肩で息をしながら、満面の笑みでこちらに向かってくるわたしの恋人






『モモや、おんにじゃなくて先生ね』



「あ、忘れてたごめーんね?」






反省する気の無い謝り方で首を傾げて顔の前で手を合わせる






『もう…あんた本当に昔から変わんないわね〜』



「ん〜、ナヨンおんにだから」






今度は目元に皺を寄せてくしゃっと笑うモモ




モモとは家が近所で幼馴染でもあり、わたしの恋人でもある




たまたま赴任した高校がモモのいた高校で、わたしは保健室の教師として来てるんだけど




毎回昼休みになると必ず私のところにやって来て、わたしと一緒にご飯を食べるのだ






『全く…で、ご飯食べるの?』



「う〜ん…今日お弁当忘れてきちゃった…」






だんだん小さくなる声と比例して身体まで縮こまってしまったモモ






『はあ…もうどうするの〜』



「だって今日寝坊したんだもん〜」






「それにママが起こしてくれなかったし…」
なんてブツブツ言いながら下ろしている髪の毛先を弄っている






『しょうがないわね…はい、わたしのご飯あげる』



「え、でもナヨンおんにのご飯が無くなっちゃうじゃん」



『わたしはいいの、モモが美味しそうに食べてるところ見るだけでおなかいっぱいになるから』






申し訳なさそうな顔をしてうーんと唸っているモモの前にコンビニで買ったおにぎりを置くと、「まあナヨンおんにがいいなら…」と少し嬉しそうに食べ出すモモ






『ゆっくり食べなさいよ、あんたいつも色々こぼすんだから』



「分かってるよ〜、もう子供じゃないんだから」






少し頬をプクッと膨らませているモモの口元にはご飯粒が付いている






『ほら、付いてるじゃん
やっぱりまだまだ子供ね〜』






そう言いながら口元に付いているご飯粒を取って自分で食べる






「…分かった、ナヨンおんにもおなかいっぱいになる方法」






ニヤニヤしながらこちらを見るモモの考えは絶対良いことではない






『な、何よ…』



「こっちきて、ナヨンおんに」



『…嫌な気しかしないから行かない』



「嫌なことじゃないよ〜、はやく!」






ずっとそういうもんだから、渋々と座っていた椅子から立ってモモの座っている椅子の方へと向かう





モモの右横に立つと、いきなり腕を引っ張られてバランスを崩す





それを良いことに、わたしの後頭部を持ってすかさずキスをされる






『んんっ、、ん…モモっ、』



「…今からモモがナヨンおんに食べるね」






そういう意味のおなかいっぱいかよ





そんな虚しいわたしの想いは通じることなんてなくて、保健室にあるベッドに押し倒される






『ねえ、、まだ学校だって、、っんぅ』



「モモお腹空いたもん」






なんて言いながらわたしの白衣に手を掛けているモモはもう止められない






『…カギ、、閉めて……』
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