世界を歩く

□第一話
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とある大陸の海沿いの小国、高華国の城ではその日、新たな命が誕生した。

国王であるイル王は小さな命を腕に抱き、愛しい我が子を待ち受ける厳しい現実に涙を浮かべ、神官が城を去る前に言っていたことを思い出した。

『イル皇子、ユホン皇子、良く聞きなさい。いずれ、高華国の王位は貴殿方のどちらかに受け継がれることでしょう。そうして新しく第一皇子、または第一皇女が誕生したとき、その子を第一の子としてはいけません。
初めに生まれた子を王家の血筋として扱うと高華国が滅びてしまう。...初めから、存在しなかったことにするのです。』

目の前で泣き声をあげるこの美しい命に、どんな罪があるのだろうか。寝台に寝かされている王妃も涙を流しながら我が子を見つめている。

「...イル、私にはこの子を殺すことなどできないわ。だって、こんなにも愛くるしくて繊細なのに。」

「...離宮で育てようか」

悲しそうな王妃の言葉を聞いて、イル王は決意した。この子を、愛しい我が子を隠し、育てると。

二人はこの出産を公にはせず、離宮で“第一王女”ではなく“娘”として育てることにした。
離宮に立ち入ることを許されたのは、二人の宮女と芸事の家庭教師と武術の師範であるムンドク、それから学問の家庭教師だけであった。
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