妄想吐き溜め

□2人の関係性
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七瀬と私は別に仲が悪い訳ではない。
お互いがお互い敢えて必要以上に話す事がないってだけで

開いたままの雑誌、その手元の1ページの中のひと枠に目がとまる。

「上半期オススメゲームランキング」

今年も気付けば半年超えたんだ、時が経つのは早いねぇ〜なんて事を呑気に思いながら「ゲーム」の3文字に七瀬の顔が浮かぶ。
私はそこまで詳しくないけど、ゲーム好きな七瀬ならこんな記事見たら食い入るように見るのかな…なんて

例えるなら学校のクラスの中でもそれぞれいくつか仲の良いグループが存在するように、私と七瀬はクラスの中でのグループが違う、そういう感じ。
撮影で一緒になれば勿論普通に話すし、冗談も言い合う仲だし、何より私は七瀬を1人の人間としてとても尊敬している。
何かと余計な波を立てたがるネットの中では
そうした距離に面白おかしく勝手な事を書き立てる人もいるけど
そんなものに初期の頃は、私も振り回されそうになった時期も、まぁ…確かにあったけど…
だけど本人を見てればそんなネットで掻き立てるような事勝手に言わせておけば良いって気にならなくなった。




西「まいやん、何ぼーっとしてるん?」

白「…ぁ、七瀬…」

今の今まで頭の中で考えていた人が何てタイムリーに出てくるのだろう
少しびっくりしてしまって、思わず次の言葉も出てこない私に

いつも楽屋で賑やかなまいやんがぼーっとしてるんは珍しいな。

って




七瀬の事、考えてた。

とは流石に…何か、言えなくて
「…んー、なんだろ…寝てたかも」と結局上手くごまかせなかった言葉

「目ぇ開けたまま寝てたん?」

と、楽しそうに笑う七瀬。


白「…あ、七瀬もしかして何か用事あった?」

西「ん?あー…用事っていうか、もうそろそろ次の現場の移動の時間やろ?けどまいやん開いた雑誌のページもめくらんとぼーっとしててん、気になって声かけた」

言われて壁にかかっている時計を見ると…

嘘、もうそんな時間




白「うわ…ありがと七瀬。支度しなきゃ」

どうやら思いのほか心ここにあらずだったみたい
七瀬は私のありがとうに対して頷くと、楽屋を一足先に出て行った。
まだ楽屋にはメンバー各々、移動の準備をしている子も何人かいたから私も少し急ぎめで身支度を整える
それでも結局一番最後に楽屋を出た私は足早に移動バスまで向かう。


急ぎめで向かっていると


白(あれ?七瀬?)

私より先に楽屋を出たはずなのに、歩いている七瀬と早歩きの私。
必然的に追いつく形となって七瀬と並ぶ

七瀬さん、そんなゆっくり歩いてて大丈夫?
声をかけたら「充分時間には間に合うし大丈夫やろ」って
私のささやかな心配もよそに七瀬はどうやら歩くペースを上げる気はないみたい。
まぁ確かに集合場所までもうそんな距離も遠くないし
そう思って私も七瀬と並んで歩く。


白「七瀬、さっきは声かけてくれてありがとね」

西「や、別にななが声かけんでも、さゆりんかいくちゃんとかがまいやんに声かけるかなとも思ったんやけどな」

白「ううん、助かったよ。有難う」

改めてお礼を言って、他愛ない話しをポツポツしていると集合場所に停車している移動バスが見えてきた。

七瀬と2人で話す空気はいくちゃんたちと話すようなハイテンションではなくて、とても静か。流れる時間も穏やかなもので、そんな七瀬との空気、私は結構好きなんだよなぁ…
バスにつけばその時間も終わりを告げて
もう少し七瀬と話したかったな…
なんてそんな寂しさを感じるけれど、七瀬にはそんな顔見せても困らせちゃうだろうし
顔に出さない様、蓋をした。

先に七瀬がバスに乗り込んで、その後に続き車内を見回す。

誰の隣が空いてるかな〜

あ、いくちゃんの所空いてる
いくちゃんと話すのも楽しくて好きだけど、今日は静かに(笑)移動したいんだよね〜
そう考えると今日はいくちゃんの隣に座るのはやめておこう
あ、玲香の隣空いてる?
と思った矢先、玲香に話しかけた若月がそのまま玲香の隣に座った。
3期生メンバーも何人か同乗していて空いてる座席もチラホラ…いやいや流石にその中に私が座ったら違和感しかないしそもそも私もそんな若い子たちの中に混ざるなんて気まず過ぎる。
ないない。
そんな1人ツッコミをしながら再び見回していると

ついさっきまでほんの数分、短い時間だったけど一緒に歩いていた彼女の隣が空いている事に気づく。


それを目にした瞬間、彼女に吸い込まれるように私の足は動いていて…空いてるその座席を他のメンバーに先越されないようにと足取りも自然と早足になってた

白「…七瀬、隣、いいかな?」

西「ん?あぁ、空いてるからええよ」
ニコッと微笑む七瀬に自然と私も笑顔になる。
失礼しまーーす
って少し軽めに冗談めかしながら七瀬の隣に座る。
キャプテンがメンバーの点呼をとり、バスはゆっくり動き出す。

西「次の移動まで結構時間あるなぁ…って、いくちゃん元気やなぁ」
後ろを振り返り楽しそうに笑う七瀬。

白「ははっ現場に着くまであのテンションだから凄いよね」

西「まいやんもいつも楽屋じゃテンション高いやん」

白「あ〜、何か皆に会うとついついテンション上がっちゃうんだよね」
いつも楽屋でうるさくしちゃってるよね?ゴメン
そんな私の言葉に七瀬は首を横に振って

西「…んーん、ななはいくちゃんやまいやんみたいにオモロい事言えんけど、見てるの好きやで。テンション高いまいやん、可愛いなっていつも思っとるし」


白「………」


「可愛い」
まさか七瀬からそんな風に言われるなんて思ってなくて

私はその時どんな顔をしていただろう?


特に気にもとめてない素振りの七瀬は軽く欠伸をする
それに気付いて
白「ぁ…七瀬、眠いの?」
咄嗟に出た言葉。

西「んー…実は昨日あまり寝られんくて…」

そう言う七瀬の瞼が、心なしか重くなってきたようにも見えて

白「私起きてると思うし、寝てても良いよ?」


西「ん…せやなぁ…少しだけ…そうさせて貰おかな…」

瞼を軽く擦りながらそう言って七瀬は座席に頭を預ける。


ほんの少しだけ七瀬が寝ちゃう事を残念に思ったけど
でもそんな事は言えなくて
だからそんな気持ちは振り払い、気を紛らわすように携帯を取り出す
ブログでも更新しようかな…うーん…
なんて考えていると



西「まいやん」

白「ん〜?」

名前を呼ばれて顔を向けると、こちらを見ていた七瀬と目が合う。

無言でいる私に


西「肩、貸して貰ってもええかな?」


白「うん、どうぞ」

それは躊躇いもなく
私に迷いなんかなかったみたいに無意識で言葉にしてた。

七瀬の頭が私の右肩に降りてくる
心地よい重みと七瀬の香りがとても近くて
撮影の仕事で七瀬と一緒にペアになる事はあっても、撮影以外の楽屋とか、普段皆でいる時に七瀬とこうして触れ合う事なんてほぼほぼなくて


何か…

何か凄く嬉しいんですけど…
それと同時にバスの移動距離の長さにも心の中で感謝した



白「七瀬、可愛い」

隠しきれない嬉しさが言葉となって出てくれば


西「まいやんの肩の高さ丁度ええな。ええ匂いもするし。なんや、気持ちええ…なな起きれるかな…」




って何それ…
なんか…なんか七瀬から発せられる言葉の糖度増してない?

白「本当?こんな肩で良かったらこれからも七瀬に愛用して欲しいな」

西「ん、そうさせて貰おかな…」



西「なぁ、まいやん」


白「…ん?」










そしたら、またななの隣に座ってな?


って


そんな言葉を発した後、七瀬は静かな寝息を立て始める
私の頭の中ではしばらくの間脳内で七瀬の言葉に支配されてまともに機能しなかった
その後、絶対寝ないと思っていた私だったけれど、心地よい重みと揺れに結局いつの間にか七瀬と一緒に眠ってしまったみたいで2人してキャプテンに起こされて目が覚めた









おまけ

その後、七瀬との2ショットを写真に取っておけば良かった!って事に気付いて、何で寝ちゃったの私ーっ!!って1人でかなり落ち込んでいたら

後ろから玲香が声をかけてきた
桜「ま〜いやん」
って、ニヤニヤしながら見せてきた玲香のスマホに写る、七瀬と私

起こす前に撮っちゃったwって…



「え!それ送って!!」
って玲香に頼んで私のスマホに送ってもらった


そして楽屋に着いてスマホを取り出す。
画面には玲香から貰った七瀬の寝顔写真。



無防備な七瀬の寝顔…可愛い…
こんな七瀬、誰にも見せたくないな…って

玲香に「拡散禁止ね」ってあとで言っておかなきゃ

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