short story
□初恋
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れなの目が好きだった
大きなきれいな形で
メイクしなくても
長い睫毛にくっきり縁取られて
れなは泣いて目が赤くなっても、みっともなくまぶたを腫らしたりすることはあまりなかった
「さき」
私はあの頃よく怒られて
そういう立場でもあって
自分の事なら耐えられるけど、
そうじゃないときはもどかしくて泣くことも多かった
「ごめんね、出来なくて」
どこか素直じゃなくて負けず嫌いな私は皆の前で泣けないことが多かった
「さき」
そういう私をれなは何故か見つけて
「いこ?ケーキとってあるの食べよ」
決して、皆が待ってるとか、泣いちゃダメとはれなは言わない。
「ほら」
手を引っ張っていく。
「れな」
人目があるところに来るとそっと手を離す
私の立場を思って
背中をぽんと叩いてくれる
「ありがと」
同期だから
普通に出会っていたら年上でこんなにきれいな人、呼び捨てになんか出来ないけど
私はれなをれなと呼べる
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