夢
□第12話
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睡「よしっ!だいぶ熱も下がったな」
子「ありがとう睡骨様」
遅い。朝出て行ったのに、こんなに時間がかかるとは…
確か隣の村までは林を抜けてすぐのはずなのだが…
まさかヤツらと遭遇して危険な目に……!?
「睡骨様、ボーっとしてどうしたの?」
睡「え?あっ、いやなんでもないよ」
子どもの声かけに睡骨は笑顔で答える。
睡「りゅう、この子をみててくれ。ちょっとばかり出かけてくる。」
「ええ、任せてください」
睡「悪いな。すぐ戻る。」
睡骨は準備をするなり、急いで林へと向かった。
林へ入ると、少女と行き違いになってしまわぬようにと辺りをキョロキョロとしながらゆっくりと進んだ。
しばらく進むと、前からふらふらと歩いてくる人物が見えてきた。
蛇「よぉ!睡骨じゃねぇか!」
睡「…お前は……」
睡骨はすぐに蛇骨の肩にかかっているカゴが目に入った。
間違いない。少女が今朝持っていったカゴだった。
蛇「おめぇもだんだん準備しろよぉ。もう戦は終わったし、また拠点移すって大兄貴がー…」
睡「あの娘はどうした。」
蛇「…って人の話聞けっつの!」
睡「あの娘をどうしたかと聞いているんだ!」
蛇「あ?あー…あいつならあっちの川辺でへばってんじゃねーのー」
「あと俺ぁ知らねーよ」と蛇骨が言い終わる前に、睡骨は急いで川辺へ向かっていた。
蛇「だから人の話を聞けっつの。
……何カッカしてんだアイツ」
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やはり一緒について行くべきだった。
なぜ危険とわかっていて一人で行かせてしまったのだろう。
川辺にたどり着いた睡骨は横たわっている少女を発見し、すぐさま駆け寄る。
呼吸をしている事に安堵し、静かに少女の肩を揺らす。
睡「しっかりするんだ。」
目を開けると睡骨が居たことに驚いた少女は目を丸くする。
どうやら腰を抜かした上に、気が抜けてこんなところで眠ってしまっていたようだ。
つくづく情けないと自分に呆れていた。
睡「大丈夫か。ケガはないかい?
すまなかった…怖い思いをしただろう…」
そう言う睡骨の手は震えていた。
だいぶ心配をかけてしまったのだろうと、こちらも申しわけない気持ちでいっぱいになった。