alchemists

□せんせい
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「先生は英語の先生でもあったんですか。すごいですね」
「別に、そんなにすごいことじゃないよ。むしろ作家一本に絞れなかったっていうことじゃないか」
「作家もできて教師もできて、先生はすごいですよ。私、英語は全然できなくて…まぁ、こうして仕事をする分には困ってないですけど」
「それもどうかと思うけど、困ってないならいいんじゃないの。それよりも、ソレ、早く仕上げないと催促が来るよ」
「あはは、怒られるときは一緒ですからね」
「そんなのごめんだよ。どうして僕が一緒に怒られないといけないのさ。君だけがこってり絞られればいいだろう?」
「そんなこと言わないでくださいよ、先生。とっておきのお菓子あげますから手伝ってくださいよ」
「もう一声」
「先生、お願いしますよ。お茶もつけますから。堀先生の」
「君が自分で淹れない宣言をしたことに僕は呆れるよ」
「だって、堀先生のお茶美味しいじゃないですか。私淹れ慣れてないですし、嫌です」
「そんなにはっきり言ってどうするの」
「どうしましょう。あ、お願いしますね」
「……怒られている君は情けないったらありゃしないからね。僕が頼んでくるから、その間に進めておくんだよ」
「はーい」


::


「あれ、徳田さん?どうかしましたか」
「君のお茶を仕事で死にかけの司書殿がご所望なんだ。悪いけど頼まれてくれるかい?」
「いいですよ。司書さんもしかたないですね。お疲れ様です」
「ありがとう。…君も、いつもこんなこと頼まれて嫌じゃない?」
「僕は好きなことをしているだけですし、大丈夫ですよ」
「…今度司書秘蔵のお菓子差し入れるよ」
「ふふ、ありがとうございます」


::


「入るよ」
「あ、ありがとうございます。お菓子はあっちの棚の上から三段目ですから、好きなのを食べてください」
「わかった。あ、堀くんにも渡すからね」
「堀先生ですか?いいですよ。ありがとうございますと伝えておいてください。仕事が終わったら私も言わないと……」
「はいはい。ほら、少しは進んだ?今日中なんだろう?」
「進みましたよ!誤字がないか確認お願いします」
「はいはい」
「ありがとうございます。先生」


end

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