alchemists

□その顔は卑怯
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「ねぇ、司書さんは死にたいとか考えたとこあるの」
「はぁ?」
「あるの?ないの?」
「……あるけど、それがなに」
「え、あるの?意外…だなぁ……」
「そっちから聞いといてなんだそれ。こっちのことをなんだと思ってんだよ」
「仕事中毒者」


「はぁ…それで?なに?答えたからもういい?」
「意外だったからもうちょっと」
「失礼だなオイ」
「だって仕事のことしか考えられないと思ってたんだよ!」
「てめぇみたいに実行する暇がねぇだけだよ。引継ぎ資料作る暇があったら、新しい案件引き受けるっつーの」
「なにそれやっぱり中毒者じゃん」


「生きてりゃ死にたくなるときだってあるだろ」
「そう、だね。…そりゃ、そうだ」
「そんな顔すんなよ。今こうして生きてるんだからそれでいいだろ」
「…どうして生きようとしたの」
「今日はえらく質問攻めだな?そうゆう気分なのか?」

「そーゆー気分、かもね」


「てめえらに会えるって言われたからな」
「へ?」
「協力すればてめえらに会えるって言われたんだよ。だから仕事を引き受けた。仕事を終えるまでは死ねるわけねぇだろ。だから生きてる」
「へ…へぇ!そうなんだ!司書さんは僕に会いたいがために生きようとするぐらい僕のことが好きなんだ!へぇー!!!」
「てめえ“ら”っつってんだろ」
「それじゃ、司書さんにとっては今がまさしく天国みたいなもんじゃないの?僕とか僕とか僕に!毎日会えるんだから!」
「聞きやしねぇ……」
「もう司書さんったらそんなに僕のこと好きだったんだぁ!へぇ!ふーん!じゃぁ、僕はこれで!」



*:*:*


「トイウコトデシタ」
「なんや太宰クン、それで顔まっかにしてワイの部屋に駆け込んできたん?」
「だってだってだって!あの人の顔!なんであーゆーときだけあんな顔するかなぁ!?」
「え、なになに?どんな顔してたん?」
「それはっ……それはねぇ…」
「それは?」
「……ナイショ!」
「えぇぇ、ここまでタメておいてそれはナシやで!」
「内緒ったら内緒!」


end

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